はじめに

住宅ローンの返済は、60歳以降も収入を得ることが大切

ご相談者の65歳からの年金受給額はいくら程度と「ねんきん定期便」に書いてあるでしょうか。もし仕事をやめてしまったら、69歳の住宅ローン完済まで、年金でやりくりしなくてはいけません。平均的な厚生年金の受給額は、男性で約16万円ほど。この金額はこれまでの収入により変わるので、あくまで目安にしかなりませんが、この受給額で住宅ローンを返済して、生活もしていくことができるかということを考えなくてはいけません。

収入不足だからと家を手放すとしても、その後に住む賃貸住宅を探すことが、年齢的にも金額的にも難しい可能性があります。となると、住宅ローンをなんとか返済することを考えたほうがよさそうです。

実現するには、やはり「60歳以降も収入を得る」ということが大切になります。今年から70歳まで雇用することが、企業の努力義務になりました。今後、どういう形であれ、70歳まで働ける場所が増えてくると思います。そして年金受給は1カ月繰り下げるごとに0.7%増えていきます。

収入増の工夫と節約の組み合わせで完済を目指せる

できるだけ働き、厚生年金に加入してDCまたはiDeCoを続け、収入の範囲で暮らし、年金受給は繰り下げる。これらを続けていけば、70歳以降、住宅ローンがあっても多少は暮らしやすい状態を維持していけるのではないかと考えます。

例えば、年金額月16万円の人が、70歳まで受給を繰下げした場合、42%増えることになります。月の受給額は22万7,200円にもなります。68歳まででも、25.2%増しの約20万円です。

このように、収入増の工夫と節約の組み合わせをさまざまな方向から考え、自分が良いと思える組み合わせを見つけて実行していただければ、住宅ローンを完済した後の明るい老後生活が見えてきます。やり方次第では、必ず完済できます。ぜひ、頑張っていただきたいと思います。

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