はじめに
民間調査でも「新型コロナ」が景気リスク第1位から転落
日本経済研究センターが実施している「ESPフォーキャスト調査」では特別調査として2020年9月から奇数月に、「景気のリスク」をフォーキャスターが3つまで挙げています。
2021年9月調査までずっと「景気のリスク」の第1位は「新型コロナウイルス感染状況」でした。ところが、新型コロナウイルス新規感染者が急減した状況を反映して、11月調査で「新型コロナウイルス感染状況」が「中国景気の悪化」に抜かれ第2位となり、「景気のリスク」第1位の座を明け渡すという変化が生じました。なお、第3位はWTIで1バーレル80ドル台まで上昇してきた最近の原油価格動向を反映した「原油価格上昇」で、こちらも前回第3位だった「米国景気の悪化」を逆転しました。
続いて、「景気ウォッチャー調査」が厳しい内容だった8月調査から、9月調査で一転して先行き判断を中心に改善に転じたと前回リポートした続報です。10月調査では、9月末の緊急事態宣言解除の影響が現れ、現状判断が大幅に改善しました。
10月の景気ウォッチャー調査では、現状判断DI 55.5と前月差13.4ポイント上昇し、14年1月以来の高水準になりました。飲食関連、百貨店、旅行・交通関連、レジャー施設関連などの業種が大幅に改善しています。
9月調査では現状判断DIと先行き判断DIで改善の差が出ましたが、10月調査でその差は埋まったようです。10月の先行き判断DIは57.5と前月差0.9ポイントの小幅な上昇でしたが、57.5は統計史上最高だった2013年11月の57.6に次ぐ第2位の高さに該当します。
現状判断には、テレビや新聞で大きく報じられる方向性を表す現状判断DIの他に、水準を示す現状水準判断DIがあります。10月の現状水準判断DIは43.8で2019年9月の47.3以来の数字になり、コロナ禍以前の水準に持ち直しました。
ESPフォーキャスト調査の特別調査や、景気ウォッチャー調査の最近の結果は、コロナ禍からの回復を反映したものと言えるでしょう。