はじめに

現在の日本株は“割安”水準

日本経済新聞社の集計によれば今年度上期の上場企業の純利益の合計額は前年同期の2倍となり、同期間で過去最高を更新しました。通期では48%増となる見通しです。

一方、TOPIXの今期予想EPSはいまだに36%増益のままで、直近の決算発表における企業側見通しの上方修正を反映していません。従って今後はこの好業績を追いかける格好で徐々に織り込みが進み、株式相場は堅調に推移するでしょう。

日経平均を構成するのはわずか225銘柄ですから、上場企業全体の数値とは完全には一致しません。それでも日経平均構成銘柄は時価総額で市場全体の8割をカバーします。従って日経平均のEPSも今年度通期では5割弱の増益になると仮定すれば2,300円強となる計算です。

上述の通り、今は2,090円程度ですから、ここから約10%上方修正余地があります。その予想EPSをPER14倍で評価すると、日経平均株価は3万2,000円を超えます。予想業績から見て今の日本株の水準は明らかに割安です。

コロナ感染は海外では再拡大していますが日本は抑制されています。グローバルなリスク回避の観点からも日本株への資金シフトが起きてもおかしくありません。原油等エネルギー価格は一服となっており、コスト増が懸念されていた日本企業の業績面での追い風です。

大型の経済対策も決定され、これから年末にかけて日経平均はいよいよ3万円台回復が視野に入ってきます。無論、3万円は通過点に過ぎず、上値はさらにあると考えています。

<文:チーフ・ストラテジスト 広木隆>

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