はじめに
失業手当の給付額と給付日数
では、失業手当では実際いくら受け取れるのでしょうか。これは、離職前の賃金から計算されます。失業手当の1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。
原則として、離職の日以前の6カ月に毎月決まって支払われた賃金の合計を、180で割って算出した金額のおよそ5~8割で、賃金が少ないほど高い給付率になっています。
基本手当日額=(離職前6カ月の賃金合計÷180)×給付率(5~8割)
また、基本手当日額には、上限額と下限額が定められています。 上限額・下限額は、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減によって、その額を変更しますので、社会情勢にあった金額になっています。
令和3年11月現在、上限額は、29歳以下は6,760円、30~44歳が7,510円、45~59歳が8,265円、60~64歳が7096円。下限額は、年齢にかかわらず2,061円です。
給付日数は、年齢や、雇用保険の被保険者期間などで決まります。
65歳未満、自己都合での退職は、被保険者期間が1年以上10年未満は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日です。
たとえば、新卒で5年勤務した会社を退職した場合、その会社では5年間雇用保険の保険料を払って被保険者だったとすると、「1年以上10年未満」にあてはまり、90日分の給付を受け取れます。
受給できる期間は、離職してから1年間です。離職から1年を過ぎると、給付日数が残っていても給付は受けられません。手続きは早めにしておきましょう。
2020年10月から改正された、給付制限の期間
自己都合退職の失業手当給付には、3カ月ルールがあると聞いたことがある人もいるかもしれません。この3カ月が、条件によっては2カ月に短縮されるよう、2020年10月から改正されました。
従来、自己都合退職の場合、ハローワークに離職票を提出して求職申込をしてから7日間の待期期間の後、さらに3カ月の給付制限の後にならないと、失業手当は受け取れませんでした。
しかし、これでは失業者にとって経済的な負担が重く、かえって求職活動の妨げになることが指摘されていました。
生活費に困って意に沿わない就職をした結果、短期間でまたもや離職することになってしまったら、本人だけではなく社会的にも損失です。
そのため、1日でも早い就職を促進してはいますが、同時に再就職先はしっかりと選べるよう、給付制限の期間は2カ月に短縮できるようになりました。
ちなみに、離職理由が解雇、定年、契約期間満了の場合には、7日間の待機の後すぐに失業手当が受け取れます。