はじめに

収入が多いと治療費の負担は大きくなる

高額療養費制度の上限額は、年収によって異なります。年収約370万円~約770万円の人であれば、ひと月の医療費は約9万円です。しかし、年収約770万円以上だと約17万円、年収約1,160万円以上だと約25万円…。年収が高い人ほど、治療費の自己負担は抑えにくい仕組みとなっています。

大きな会社や物価の高い都市部などで働く人にとって、年収770万円を超えることは決して珍しいことではありません。また、40代50代と年齢を重ねることで、年収が高くなる人もいるでしょう。この年代は、子どもの教育費やマイホーム費など、減らしにくい支出が多くなる時期でもあります。

入院や手術などで高額な治療費がかかる場合に備えて、自分の自己負担上限額を意識しながら、預貯金や医療保険で準備しておく必要があります。

健康保険に「付加給付」があれば負担は一気に下がる

年収が高くても治療費の自己負担額が少ない人もいます。勤務先の健保組合に加入している人の場合、健保組合が独自に高額療養費制度に上乗せする形で付加給付や付加金を出してくれるケースがあるからです。

名称や詳細な条件は健保組合によりますが、「年収に関わらず上限額2万円」「年収により上限額2万円~5万円」など、手厚い内容となっていることが珍しくありません。

このような健康保険に加入している人は、治療費に備えて預貯金や医療保険を準備しておく必要度は下がります。特に所得の高い人は影響が大きいので、付加給付の有無は必ず確認してきましょう。

預貯金がいくらあれば入院に備えられる?

高額療養費制度があることも踏まえると、結局どのくらい備えが必要になるのでしょうか。急な入院に備えて準備しておきたい預貯金額を考えてみましょう。

(1)ひとまず「2カ月分の上限額」があると安心

「厚生労働省の「患者調査の概況(2017年)」を見ると、全年齢で平均入院日数は約29日になっています。そのため、約1カ月の入院に備えておけば大体のケースはカバーできると予想できます。

高額療養費制度の上限額は「初月~月末」の負担額で決まるので、月をまたぐ入院などは自己負担の総額が高くなりがちです。1カ月の入院に備えるためには、「高額療養費の上限額×2カ月分」がかかると想定しておきましょう。

(2)治療費以外のお金も準備したい

高額療養費制度は、あくまでも治療費が対象となりますので、治療費以外の費用は別で自己負担する必要があります。代表的なものとしては、入院時の食費(1食460円が基本・1日3食で1,380円)や差額ベッド代が挙げられます。

特に差額ベッド代(1人部屋)を想定する場合は、1日あたりおおむね8,000円前後を目安に考えておく必要があります。金額が大きいので、入院時に医療費を減らしたい人は、できるだけ差額ベッド代がかかる病室を避けることが大切です。

(3)準備したい医療費の目安

上記(1)(2)をふまえ、30日間の入院に必要なお金を対象者別に予想しました。その結果は、およそ8万円~80万円。年収や付加給付の有無に加えて、差額ベッド代がかかる個室を希望したいかどうかで、大きく変わってきます。


上記はあくまでも目安ですが、この金額を預貯金で常に確保できていれば、少なくとも「医療保険に入ってなくて困った!」という事態は避けられるのではないでしょうか。

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