はじめに

医療保険加入を検討したほうがよい人とは?

まだ十分な預貯金がない若者や、扶養家族がいて医療費の負担が大きくなる危険がある人、複数回の入院や手術に備えておきたい人などは、万一の医療費を預貯金だけで備えておくことは難しいかもしれません。その場合、必要に応じて医療保険を検討すべきでしょう。ただし、「医療保険に入れば安心」と思うのは危険です。

もし入院1日あたり5,000円の給付金が出る医療保険に加入した場合、30日の入院でもらえる給付金は「30日×日額5,000円=15万円」です。入院がふた月にわたった場合や、治療費以外の支出が膨らんだ場合、収入が高い人などは、医療保険の給付金だけでは入院にかかる費用をカバーしきれないと予想されます。

それなら医療保険を手厚くしようと思うかもしれませんが、保障が2倍になれば保険料も2倍近く上がります。もし月額1,000円の値上がりでも、40年間続けると差額の総額は48万円です。48万円あれば、場合によっては複数回の入院にも耐えられるくらいの金額です。

医療保険以外での備え方にも目を向けよう

医療保険に加入したとしても預貯金での備えが必要になるのであれば、分かりやすく、すべて預貯金で備えておいても良いのではないでしょうか。預貯金であれば、入院時以外にも、自然災害や失業、離婚、老後の介護費など、いろいろなリスクに臨機応変に使うことができます。

治療費がかかった年は、治療費に応じて税金の負担が減る「医療費控除制度」もあります。医療費控除はもらった保険金を除いた自己負担金額をもとに申告するので、保険金をもらわなかった人ほど、減税効果が高くなりやすい面があります。

治療費に備えて医療保険を検討するのも良いですが、各制度を正しく理解し、必要に応じて預貯金も準備するようにしましょう。また、お金の準備も大切ですが、健康的な生活習慣や定期的な健康診断の受診を心がけ、病気の予防や早期発見に力をいれるのも大切ではないでしょうか。

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