はじめに
未確定なお金を明確にする
また、年金の受給は夫婦ともに65歳からですので、60歳からの5年間は預貯金から切り崩すことになります。
今のように毎月30万円支出する生活を送る場合には、年間360万円、旅行資金を加味して年間500万円支出がある場合には、5年間で、2,500万円支出することになります。
厚生労働省が発表する「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、年金の平均受給額は、国民年金がおよそ5.6万円、厚生年金がおよそ14.4万円となっています。夫婦それぞれが同額の年金を受け取ると仮定すると、夫婦は厚生年金に加入しているため、2人で毎月28.8万円、年間で345.6万円の収入を得ることが可能になります。もし、年間500万円の支出を考えている場合には、預貯金から毎年150万円程度、切り崩すことになり、65歳から90歳までの25年間で、3,750万円を支出することになります。
つまり、60歳から90歳までで預貯金から6,250万円を捻出することになるのです。
年金はあくまでも仮の金額ですので、自分たちの年金がいくらになるのか、夫の退職金もいくらになるのかを確認してください。退職金の支給額については、会社で決まりがあるはずです。それを基に、退職金を算出してみましょう。
滞在先によって生活コストは大きく変わる
希望としては、数カ月単位で、国内外で暮らすことを考えられているとのこと。日本国内については予算を組みやすいと思いますが、海外になると事情は変わってきます。アジアで暮らすのか、ヨーロッパで暮らすのか、北米か、南米かによってもかかるコストは違ってきます。
ヨーロッパの地方都市に滞在する場合、アパートメントハウスを契約する場合は、最低6カ月以上などと決められていることも少なくありません。行きたい国や地域にかかるコストはいくらになるのかを知り、毎年、予算立てをしていくと良いですね。
たとえばカナダ・バンクーバーで暮らす場合、ロングステイヤ-でも利用できるコンドミニアムは、1週間単位でも利用できるところもあります。たとえばダウンタウンでセキュリティや設備が整ったコンドミニアムを借りた場合の1カ月の家賃(水道光熱費含む)は、30万円あれば十分。その他に生活費として20万円を見込んだ場合は、50万円必要になりますが、これだけの金額をかけられれば、かなり豊かな生活を送ることができます。
希望や計画を具体的にしていく
今は、漠然と国内外で暮らしたいと考えていると思います。ただ、具体的な国や地域、ビザの必要性なども調べて、いつ、どのタイミングで、どこで暮らすのかを明確にして、計画することが大切ですし、成功する秘訣でもあります。
また、今の住まいをベースに他の場所に滞在する場合には、今の住まいのコストもかかります。仮でシミュレーションしている500万円内で納まれば良いのですが、それ以上の金額がかかるときには、暮らし方・働き方や、ライフスタイルの見直しは欠かせません。
ちょっと、面倒な作業になりますが、楽しい作業のはず! 頑張ってくださいね。
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