はじめに

お金について、親子で一緒に学ぶ

岸田内閣が決定した新型コロナウイルス経済対策の中でも大きな目玉となっている18歳以下へ1人10万円相当を給付する給付金は、一律現金で給付にするのか一部クーポンで割り当てるのかという給付方法の混乱もさることながら、「世帯主の年収960万円未満」という所得制限について一部で批判が集まっています。

子ども自身も、今回の給付を巡る親たちの動きや感情は察知しているでしょう。『給付金をもらった/もらってない』という情報の伝わり方によっては、子ども自身の心や子ども同士の関係性に影響を及ぼすことも考えられます。今回の給付については、どのようにコミュニケーションをとっていけばいいのでしょうか。

「保護者の価値観や考え方は子どもに大きな影響を及ぼします。しかし価値観や考えかたに正解はありませんから、子どもの視野を広げるためにも、多様な価値観や考えかたに触れる機会を持ちたいところですね。日本では大人ですら『儲ける/高い収入を得る=ずるい』という“妬み”の感情を抱く傾向がありますが、高所得者がそこに至るまでには様々な自己投資や努力があります。また、日本は所得に応じて税金が課されていますので、高所得者は納税して経済や社会を支えてくれている人たちであることは子どもにも伝えるべきでしょう。」(麻生さん)

日本人が抱きがちな「お金=汚いもの」という思い込みは、お金の教育の遅れが原因のひとつと言われています。自分とは異なる立場や状況にある人を思いやること、表面上は見えないことにも想像力を働かせることを大切にしてほしいと麻生さんは話します。

「保護者自身がお金をニュートラルなものとして捉えられるよう、お金に対する価値観を改めたりお金について学んだりする必要があります。コロナ対策として世界で実施された家計支援策を調べたり、今回の給付金の是非などを子供と一緒に学び、議論していくとよいでしょう」(麻生さん)

麻生さんによると、親子双方に良い学びのためには「(1)事実と意見をわける」、「(2)子どもの考えを否定せずに受け止めること」が大切だといいます。例えば、給付金であればまずは決定した事実だけを伝えます。その上で親も子も「私は」を主語にして意見を交わします。また、海外の感染状況をニュースで知ったら、その国の商品をスーパーで探してみるなど、生活の中に知識と体験と繋げる工夫をするとよいそうです。

コロナ禍が始まってもうすぐ2年。コロナ禍によって子育て世帯を取り巻く環境や状況は今なお変化し続けています。当然、子どもたちの心理的な負担も少なくありません。年末年始は親子で年始や次の春から始まる学校生活や学びについて、ゆっくり話し合う機会にしてみてはいかがでしょうか。

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