はじめに
日本株アナリストが米国株を推す理由
その理由は大きく3つあります。
1つ目は、米国は世界経済の圧倒的な中心であるため、情報やマネー・人・技術は米国に集まり、あらゆるイノベーションは米国で起きることが多いこと。2つ目は、米国企業はグローバル展開を行なっている企業が非常に多く、世界経済全体の成長の恩恵を受けやすいこと。そして3つ目は、金融政策や財政政策などの運営が正に非常にハイレベルな学者や有識者などにより運営されていることです。
1つ目と2つ目は投資をされたことがない方でも実感を持ちやすいのではないでしょうか。アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、フェイスブック、ネットフリックス、インテル、IBM、マクドナルド、P&G、ジョンソンアンドジョンソン、コカコーラ、ナイキ…。枚挙にいとまがないほど我々の生活の周りには米国企業のサービスで溢れています。
3つ目はイメージしづらいと思いますが、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の構成メンバーには金融政策のスペシャリストが非常に多いです。リーマンショック発生時にFRB議長だったバーナンキ氏やその後を引き継いだイエレン氏は、金融政策や労働市場を研究していた世界トップレベルの学者です。イエレン氏はFRB議長を退任した後に米国の財政政策の責任者である財務長官に就任し現在も務めています。
一昨年のコロナ・ショック以降も米国はまさにフルスロットルで財政支出や金融緩和を行い、全力で経済を下支えしました。そのおかげもあって、米国の株価指数は史上最高値を更新したのです。これらの理由から、資産形成のコアとして米国株への投資を検討することは決して無謀な話ではないと納得いただけるのではないでしょうか。
では日本株はどうする?
米国株に投資する際に、必ずしも個別銘柄を選定する必要はありません。前述の通りS&P500自体が非常に良いパフォーマンスをあげてきていますし、時差や言語の壁がある米国株の個別企業を選定してマーケットに勝つリターンをあげることは簡単ではないからです。
投資の神様として知られるウォーレン・バフェットも自身の経営するバークシャー・ハサウェイの株主向けに送ったレターの中で個別株投資の難しさを説明し、「S&P500に連動する低コストのインデックスファンドに投資することが個人投資家にとって最も良い投資法である」と説明しているほどです。
では、ここまで米国株の魅力ばかりをご説明してきましたが、日本株の出番はないのでしょうか?ポジショントークに聞こえるかもしれませんが、筆者は全くそんなことはないと思っています。日本株、特に中小型株には業績がしっかりと成長して株価が数年で数倍に上昇する銘柄がゴロゴロしています。
株価は中長期的に企業の業績(利益)と連動するので、将来業績が成長するであろう銘柄を選定して長期間保有することで株価指数を大きく上回るリターンをあげることは決して不可能ではありません。もちろんそのためには企業の成長性や資産等のファンダメンタルズをしっかりと分析することが必要不可欠です。そういった分析は日本に暮らす我々だからこそ、優位性を持って行うことが可能です。
米国株のインデックス投資(株価指数に連動する投資)を資産形成のコアとし、日本株は個別にピックして市場に勝つ高いリターンを目指す。これが筆者が皆様にお勧めしたい投資法です。ご興味がある方はぜひ実践してみてください。