はじめに

(3)「自筆証書遺言保管制度」を利用して保管している場合

令和2年7月10日より、法務局で「自筆証書遺言保管制度」が始まりました。もしミチコさんの父親がこの制度を利用して自筆証書遺言の保管を依頼している場合は、法務局で自筆証書遺言書の保管の有無、内容の確認をすることになります。

遺言書保管の有無は、「遺言書保管事実証明書の交付請求」、遺言書の内容に関しては「遺言書情報証明書」で確認することができます。

交付の請求ができる人は、相続人、受遺者等、遺言執行者等またはこれらの親権者や成年後見等の法定代理人に限られます。なお、「遺言書情報証明書」は、誰か一人が交付を受けた場合、遺言書保管所に関係する遺言書が保管されている旨の知らせが、その他の相続人全員に対して通知されます(必要書類等は法務省ホームページをご覧ください)。

公正証書遺言があったからといって自筆証書遺言がないとは限らない!?

相続手続きを進める際に、体調不良で和子さんの協力が望めないこと、親戚から葬儀費用の請求をされていることもあり、遺言書があれば先に進めるかもしれないと思ったミチコさんは、公証役場で公正証書遺言の作成の有無を確認することにしました。

すると、5年前に作成した公正証書遺言があることが判明しました。しかし、公正証書遺言があったからといって、自筆証書遺言がないとは限りません。遺言書は何度でも書き直しができて、内容が重なる部分は新しい遺言書が有効になるため、法務局への自筆証書遺言の検索も本来は行うべきです。しかし、法務局での「遺言書保管制度」が始まった令和2年7月10日現在、ミチコさんの父親は寝たきりで遺言書を書ける状態ではなかったと、父のかかりつけの医師が言っていたので、公正証書遺言の検索のみを行い、内容を知るために謄本請求を行いました。

[PR]NISAやiDeCoの次は何やる?お金の専門家が教える、今実践すべきマネー対策をご紹介