はじめに

実例から考える、給付の条件と給付額

Hさんはファイナンシャルプランナーで、10年以上のキャリアがあります。お客さんからの信頼も厚く、常に相談が絶えない人です。健康にも気を配り、年に200回以上ジムに通っています。

悪い知らせが届いたのは2年前、毎年受けている人間ドックで「要精密検査」の文字、しかも指摘箇所は心臓です。再検査の結果は「心臓弁膜症」でした。心臓の弁の閉じ方が不完全なために、血液が逆流してしまう状態になっていたそうです。

健康に気を使っていたHさんは、医師から説明された時は頭が真っ白に。ただ、思い返してみると、ジムで運動している時に疲れやすくなったと感じていた、とのこと。年齢のせいかなくらいに思っていたのに、実はこんなことになっていたなんて。

安心してくださいね。手術は成功し、「頭ばっかり冴えて、体が動かないからもどかしい!」と言えるまで回復しています。

それでは、給付を受けることは本当に難しくないのか、Hさんを例にそれぞれの条件を満たしているのか見ていきましょう。

■条件1 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

全く業務に起因しない病気、かつ健康保険を使った治療をしているので、この条件は満たしています。ちなみに、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就けないと証明ができれば支給対象となります。

ポイント(1)
「業務外」であるかどうか。「業務上」であった場合は【労災保険】の給付対象となるため、傷病手当は支給されません。今回は割愛しますが、労災保険の休業補償給付はまた条件が異なります。

■条件2 仕事に就くことができないこと

胸を開いてあばら骨を切るほどの大手術。リハビリもかなりハードで完全に回復するまでは仕事ができません。こちらも条件は満たしています。

ポイント(2)
誰が見ても働けないというのは明らかですが、仕事に就けない状態かの判定は療養担当者の意見等を基に、仕事の内容を考慮して判断されます。例えば医者から「もう仕事をして大丈夫」と言われてしまうと、この条件には当てはまらなくなってしまいます。

■条件3 連続する3日間(待期期間)を含み4日以上仕事に就けなかったこと

手術は成功していますが、切った箇所は心臓で、数日間はICUに入っていたそうです。ICUを出てもリハビリも含めて数日間の入院生活を余儀なくされたため、この条件も満たしています。

ポイント(3)
「連続する」というのが一番大きなポイントです。

下記の図のように3日間休みが継続した後、4日目以降休んだ分が支給対象の日数となります。この待期期間は必ずしも平日である必要はなく、有給休暇、土日・祝日等の公休日であっても問題ありません。

逆に、あいだに1日でも出社してしまえば「連続」の条件は満たされず、図の1つめ、もしくは3つ目のように支給されなかったり、支給対象の日数が減ってしまったりします。

また、ポイント(2)でも記載しましたが医師に「もう大丈夫」と判断されてしまえば、いくら連続して休み、仕事をしていなくても支給は打ち切りになります。

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