はじめに
繰り下げは要注意だけどNGではない
では、本当に繰り下げは損なのでしょうか?年金の受け取る時期をうしろにずらす「繰り下げ受給」では【繰り下げた月数×増額率0.7%】で年金額が増えていきます。例えば、夫の老齢厚生年金を3年(36月)繰り下げて68歳から受け取る場合は、約150万円(約120万円×36月×0.7%)まで増えます。ただし加給年金は無くなります。
次に、加給年金をもらった場合と繰り下げした場合の総額を比べてみましょう。
・夫の老齢厚生年金+加給年金をもらった場合(65歳から82歳まで18年間の受給額)
120万円×18年+39万円×3年=2,277万円
・夫の老齢厚生年金を繰り下げた場合(68歳から82歳まで15年間の受給額)
150万円×15年=2,250万円
仮に男性の平均寿命82歳まで受け取った場合は、繰り下げしないで加給年金をもらったほうが総受給額は多くなりますが、83歳まで生きると逆転します。寿命は予想できませんからどちらが正解かは分かりません。そもそも年金は長生きリスクの保険ですから損得で考えるものでもありません。
大切なことは、情報を集めるのも大切ですが、それが自分たちにとってどのような影響があるのか?実際に計算して確認してみることが重要です。夫の老齢厚生年金の受給額や夫婦の年齢差によって、それぞれの夫婦によって正解は異なることでしょう。