はじめに
支出の額は収入の額まで膨張する
皆さんは、「パーキンソンの法則」という法則について聞いたことがありますか? これはイギリスの歴史・政治学者であるパーキンソンさんが編み出した法則です。
そのうちの一つに、「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」 という法則があります。
私はファイナンシャルプランナーという仕事柄、これまで星の数ほどの家計を見てきましたが、そこから言えるのは、収入の額と貯蓄の額は意外と比例していないということ。
手取り収入が20万円前後しかなくても、「よくこんなに貯めましたね!」と私のほうが頭を下げたくなるほど貯蓄をしている人がいる一方で、毎月40万円、50万円の手取り収入があってもほとんど貯蓄ができていない人もいるのです。
もう少し収入が高ければ……は幻想
もしも皆さんが「もう少し収入が高ければ貯められるのに……」と心の中で思っているとしたら、残念ながら、おそらく収入が増えてもお金は貯まりません。
パーキンソンさんも言っているように、今貯められない人は、収入が増えても貯められないのです。
もちろん手取り収入が20万円で一人暮らし、そのうえ奨学金の返済もあって……と、いくら頑張っても貯められない事情がある場合もありますが、だからといって収入が多い人が貯まっているかというと話は別。結局は、その人次第なのです。
貯められる人と貯められない人の差
では、貯められる人と貯められない人の差はどこにあるのでしょうか。それはズバリ、「先取り貯蓄」ができる人と「成り行き貯蓄」しかできない人の差です。
お金が貯められる人は、ほぼ必ずと言ってよいほど「先取り貯蓄」をしています。「先取り貯蓄」とは、毎月、お給料が振り込まれたら、先に一定額を貯蓄に回す方法のこと。そして「成り行き貯蓄」とは、お給料が振り込まれたあとに1ヶ月間生活をして、余ったお金があったら貯蓄に回す、という方法です。