はじめに

また、ロシアの金融システムが不安定になり、個人もまた暗号資産への関心を強めています。制裁を受けて同国通貨のルーブルが暴落するなか、国民の多くは銀行やATMから資産を引き出し、現金あるいは別の形で資産を守ろうとしています。その一つの手段として暗号資産を保有する動きが増えており、今年3月に一部の取引所ではルーブル建てビットコインの取引高が年初来で最高水準を記録しました。

国家が暗号資産への監視を強化する動き

こうした暗号資産による制裁の抜け穴を封じようと、ウクライナ政府は暗号資産取引所に対してロシア人ユーザーの口座を凍結するよう要請しました。また、NATO諸国は暗号資産の取引を制裁の対象に加えることを検討しており、米国では暗号資産に関する大統領令が近日発表される予定となっています。日本でも金融庁を中心に同様の議論がされています。

イランや北朝鮮、ベネズエラといった制裁対象国による暗号資産の使用はこれまでも問題視されてきました。各国当局が制裁回避に関する暗号資産の取引をどこまで捕捉できるかについてはなお難しい問題ですが、ブロックチェーン分析ツールの精度も向上するなかで、ウクライナ情勢をきっかけに国際的な対策が進められるでしょう。

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