はじめに
投資信託とのセット商品にも注意
金利が高い定期預金について、よくよく見てみると、実は「投資信託」とセット商品になっているケースがあります。
例えば、「投資信託と同時購入で、定期預金金利が3%に!」といった具合です。
こちらも条件を見てみると、投資できるお金が半分ずつ(定期預金に50万円預けたい場合は、投資信託を50万円購入しなくてはならない)だったり、高い金利は2カ月や3カ月の期間限定だったりします。
「ちょうど投資信託も買ってみたかったから、いいかも!」
「しかも、定期預金の金利が高いなら、なおさらいいのでは? たとえ3カ月間だけでも、他の定期預金よりは高いし!」
と思うかもしれませんが、やはりここでも、数字でじっくり考えてみましょう。
まず、定期預金は2カ月や3カ月などの期間を過ぎると、0.001%などの普通預金になってしまうことが一般的です。
さらに、投資信託のラインナップを見てみましょう。実は、手数料が高いものばかり、というケースが多々あるからです。
手数料のなかでも、特に信託報酬(運用管理費用ともいう)といって、投資信託を持っている間、ずっとかかる手数料を要チェックです。小さな差でも、長期間投資をすると、大きなマイナス要因になってしまうからです。
全世界の株式に幅広く投資をする投資信託の手数料は、例えば、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)といった安い設定のものなら、信託報酬が0.1144%以内でもあります。一方で、あるセット商品のラインナップに入っていて、同じように「世界の株に投資する」とうたっている投資信託を見てみると、信託報酬が、1.7%ほどになっているものも見受けられます。
さらに目論見書(説明書のようなもの)を見てみると、どちらの投資信託も、投資先はアップル、テスラ、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾンといった同じような銘柄が並んでいることもあります。
セット商品の定期預金金利が2%や3%と高くても、それはほんの数カ月で終わってしまううえ、投資信託の手数料がずっとかかりつづけていては、受け取った以上の利子を手数料として払い続けていくことになりかねません。
もちろん、投資のパフォーマンスが良ければ、手数料が高いものでも利益が出ますし、「銀行預金よりはたくさん利益を得られた」と感じられるかもしれませんが、手数料が安いものにしておけば、その利益はもっと増えるはずなのです。
そのため、「投資信託は単体で選び、定期預金はまた別で考えたほうがいい」というケースが多々ありますので、慌ててセット商品に飛びつかないように十分気をつけてください。