はじめに

2)企業型DCの運用のみを継続する

老齢給付金を受け取らずに、そのまま運用のみを続ける選択もあります。元本変動型の投資信託を組み入れて運用をしていた方は、今回のウクライナ紛争で資産額がマイナスになっているかもしれません。

そのような場合、2022年4月から、老齢給付金の受給開始時期の選択肢が広がるのは朗報と言えます。それまで60歳から70歳までの間で選択可能だったのが、75歳までに引き上がるからです。相場が戻るまで運用を続けられるメリットがありますが、いっぽうで毎月手数料がかかることには注意が必要です。

この手数料は、加入者資格があった時は勤務先が負担してくれていましたが、資格喪失後は自身での負担となります。金額は運営管理機関によって異なるため、確認しておきたいところです。なお、運用のみを続ける期間は、最終的に一時金で受け取る際の退職所得控除の勤続年数には加えることはできないことにも留意が必要です。

3)個人型確定拠出年金(以後、iDeCo)に資産を移換、加入者として掛金を払う

企業型DCからiDeCoに移換して、加入するという選択も考えられるようになりました。というのも2022年5月からiDeCoの加入可能年齢が60歳から65歳に引き上げられることになったからです。加入するには厚生年金に加入、あるいは国民年金の任意加入をしているという条件がありますが、該当すれば運用を続けることが可能です。また、加入期間は退職所得控除の勤続年数に加算できるため、控除枠を大きくすることにもなります。

注意点は、iDeCoに資産を移す際には一旦資産を現金化しなければならないこと、移換時や毎月の口座管理に手数料がかかることなどが挙げられます。口座管理手数料や扱う商品内容については運営管理機関によって異なるので確認しておきたいところです。


以上、ざっくりと3つの選択肢についてAさんにお伝えしたところ、iDeCoに資産を移換し、加入する方向で進めることになりました。ただし、60歳でiDeCoに加入できるのは5月からです。2022年3月時点で加入手続きを行うことはできません。そこで、先に移換手続きのみを進めることにしました。移換に3ヵ月ほどかかるようなので、移換完了時には加入手続きを進められそうです。

改正前に60歳になられたAさんですが、5月からiDeCoに加入できることがわかり安堵されたようです。今後は65歳まで厚生年金に加入して働くか、改めて検討されるとのことでした。

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