はじめに
はじめまして、金融アナリストの三井智映子( @chiekomitsui )と申します。
今週、日本の株式市場の歴史が動きましたね。昭和36年に2部市場が創設されて以来、約60年ぶりに東証が市場再編をしたのです。2022年4月4日から、東京証券取引所が新たに「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場で取引をスタートさせました。
今回は、市場再編に至るまでの日本の株式市場の歴史についてお伝えします。
日本市場の歴史は江戸時代に遡る
江戸時代に、日本市場のルーツとなる米の取引所ができました。大阪の商人・淀屋の店先(現在の淀屋橋南詰)で、お米を売買する米市が始まりました。農民がお米を藩に納めていた年貢のことは皆様ご存知かと思いますが、当時の日本経済は「お金」ではなく「お米」の流通により経済が回っていたので、米市は経済に不可欠なものだったようです。
店先の路上で売買が行われていた年貢米は、米俵でのやり取りから、取引しやすい形に変化していきました。一つは、正米商い(しょうまいあきない)と言われる、1枚当たり10石の米との交換できる権利証である米手形を売買する現物市場。もう一つは、帳合米商い(ちょうあいまいあきない)と言われる、収穫する予定のお米も取引する帳面上で売買する先物市場に分かれて売買されるようになったようです。帳合米商いは、現在のデリバティブ(金融派生商品)の起源になったと言われています。
1730年に8代将軍・徳川吉宗が、米の先物市場である堂島米会所を米価引き立てのため公認し、吉宗は米将軍と呼ばれるようになったことをご存知の方もいらっしゃるでしょう。堂島米会所は世界における組織的な先物取引所の先駆けと言われており、日本においても堂島米会所から先物取引が日本各地に広がっていったのです。
そして、堂島米会所の取引制度や会員制度などが近代の商品、金融、証券先物取引所の原点ともなっています。