はじめに

カーボンナノチューブとその特徴

「カーボンCarbon」は炭素C、「ナノNano」は0億分の1を表す接頭辞、「チュープTube」は筒状のものを表しています。その名の通り、カーボンナノチューブ(以下、CNT)は「炭素C(だけ)でできているとっても細い筒」で、大きく分けて2種類あります。普通のチューブ状の「単層CNT」と、バームクーヘンのようにチューブが層状になった「多層CNT」です。

CNTの特徴の1つ目は「細いのに強い」です。CNTは炭素C原子同士の結合だけからできていますが、この結合が非常に強いため、髪の毛の5万分の1の細さでありながら、鋼鉄の10倍以上の強さを持っています。この強さが、宇宙エレベーターのケーブル材料として期待される一番の理由です。

ちなみに、炭素C原子のみからできている物質に、女性の大好きなダイヤモンドがあります。ダイヤモンドとCNTは炭素C原子の配列が異なっているだけです。ダイヤモンドは地球上に存在する天然の物質の中で最も硬いことから、男性が永遠の愛を誓うときに女性に贈るとされていますが、その硬さの理由は、ダイヤモンドが炭素C原子同士の強い結合だけでできているためです。実際、CNTの引っ張りに対する強度は、ダイヤモンドと同等なのです。

そして2つ目の特徴は「電気や熱をよく通す」です。例えば、みなさんのお家にある家電製品のコードに利用されている銅。銅は電気をよく通しますが、細くしていくと必要な電流量に対しての耐久性が下がります。それに対してCNTは強度があるため、細くても十分な電流量に耐えられます。電流量に対する耐性は、なんと銅の約1000倍!そして、熱の通しやすさは銅の約10倍です。

それだけではありません。耐熱性にも優れています。宇宙空間には空気がないため気温はありませんが、人工衛星などの太陽側は太陽の赤外線で加熱されます。しかも、冷やしてくれる空気が存在しないため高温になってしまいます。CNTは真空中で約2800度まで耐えられるといわれており、宇宙空間での活躍が期待されているのです。

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