はじめに
今週は為替市場で円安ドル高が一段と進行しましたね。円相場は一時、1ドル129円台となりました。これは2002年5月以来、およそ20年ぶりとなる円安水準であり、2週間で5円以上、先月初めと比べるとおよそ15円の下落と、急速に円安が進んでいることがわかります。
そこで今回は円安進行の背景や影響についてお伝えいたします。
最大の要因となっている米国の長期金利の上昇
円安進行の要因として考えられるのが、米長期金利の高止まりや、日米の政策の違いによる日米の金利差です。まず米国の長期金利の上昇についてです。
アメリでは中央銀行であるFRBが、金融緩和から金融引き締めへと政策を変更しています。インフレが高まることを抑制するために、利上げ幅や利上げのペースを一段と速めることへの警戒感が強まっていることから、長期金利の指標となる10年物国債の利回りが上昇しているのです。
米長期金利は3月はじめは1.7%台でしたが、今週2.9%台まで上昇してきています。2.9%台となるのはおよそ3年4カ月ぶりのことです。
日本では低金利政策が継続
日本では中央銀行である日本銀行によって金融緩和策が継続されており、長期金利の上限を0.25%程度に抑える政策となっています。
急速な円安進行のなかでも、黒田日銀総裁は今週18日に円安が経済にプラスに作用しているという構図に変わりはないと発言しており、現段階で日銀が円安是正のために為替介入や金融緩和の修正のする可能性は低いと考えられます。
また今週日本の長期金利が0.25%に達したことを受けて、20日に3月末以来の「指値オペ」の実施が通知されました。指値オペというのは、特定の利回りを指定して国債を無制限に買い入れる措置です。金利と国債には「国債が売られると金利が上がる」「国債が買われると金利が下がる」という関係があります。つまり今回の指値オペの実施は、日本の金利を押さえ込もうという姿勢の現れといえます。