はじめに
ロシア・ウクライナ情勢
2つ目のロシア・ウクライナ情勢に関しては全く予断を許さないものの、プーチン大統領は、対独戦勝記念日である5月9日までにウクライナ東部ドンバス地方の制圧を終え、「戦果」として誇示したい考えと見られています。この日に向けてなんらかの情勢変化があり得るでしょう。アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官がウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談したと報じられており、事態は大詰めを迎えているようにも思われます。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は長期化するとの予想もありますが、急転直下、終結へと向かうシナリオも頭の隅に入れておくべきでしょう。
日本企業のガイダンスリスク
3つ目の日本企業のガイダンスリスクとは、企業が発表する今年度の業績見通しが保守的なものになって、市場の失望売りを招く懸念です。確かに今年度は原材料費高騰などの悪材料もありますが、一方で外需企業は円安による業績上振れ要因もあり、決算発表一巡後は今年度の増益見通しがはっきりするでしょう。以上からGW明けには株式相場に堅調さが戻ると考えています。
新たな不安材料も
ただ、ここにきて新たな不安材料が台頭してきました。中国で都市封鎖(ロックダウン)が上海市以外にも拡大するとの懸念です。
中国はコロナウイルス感染を厳格に封じ込めようとする「ゼロコロナ」政策をとっていますが、それによる物流の寸断、工場閉鎖などで経済や供給網(サプライチェーン)に大きな悪影響が及ぶリスクが市場の不安を高めています。4月25日は上海総合指数が5%を超える大幅安となって心理的節目の3,000を下回り、終値は約1年10カ月ぶりの安値水準に沈みました。
中国の厳格なコロナ対応はリスクではありますが、逆にそれで感染が封じ込めこめるなら、一過性の悪影響にとどまるでしょう。また、中国の都市封鎖によるマイナスの影響は、原油価格の下落→インフレ懸念の後退→米国長期金利の低下→米国株のサポート要因と巡り巡ってプラス要因の働きをするという面も忘れてはなりません。
ものごとには常に2つの側面があります。これは為替レートでも同じこと。円高に悪い面もあれば良い面もあるように、円安にも両面あります。
足元の円安は「悪い円安」と否定的な面ばかりが強調されますが、企業業績に与えるプラスの面をもっとポジティブに評価するべきでしょう。