はじめに

「買い」からだけでなく、「売り」からも取引を始められるというのは、FXの大きな特徴と言えるでしょう。となると、上がると思ったら買えばいいし、逆に下がると思ったら売ればいいとなります。

ただし、この「と思ったら」というのは「予想」であり、そんな相場予想がいつも当たるわけではないので、簡単なことではありません。

今回は、私が良く知っているあるベテランのFX投資家の「失敗例」を紹介しながら、「失敗の理由」を考えてみたいと思います。


ベテラン投資家の狙い

その方は「ベテラン」ですから、とても長い間FXトレードの世界でサバイバルしてきた投資家でした。長く「生き残ってきた」といったことだけでも、腕利きの投資家と言って良いでしょう。それは大損せず、しっかり利益を上げないと基本的には無理でしょうから。

この腕利きのベテラン・トレーダーは、ある時「米ドル/円は下がる」と予想し、米ドル売り・円買いの取引を続けていました。2017~2020年の米トランプ政権時代の話で、当時は米中貿易戦争が激化し、それを懸念した株安、リスクオフの拡大が円高をもたらすといった見方が有力になっていました(図表参照)。

【図表】米ドル/円の推移(2017~2020年)
(出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成)

上がるか下がるか微妙といった具合に、相場予想に迷うケースの方が基本的には多そうですが、当時は為替相場に詳しい投資家ほど、この米中貿易戦争激化の中での米ドル安・円高予想は、基本的に迷いの少ない、「自信のある予想」だったようです。

ところで、FXの収益機会には、相場が上がるか下がるかを当てるほか、もう一つ金利差利益を狙う「スワップポイント」があります。この当時の金利は、「米ドル>日本円」だったので、金利の高い米ドルを売り、金利の低い円を買うということは、スワップポイントは支払いになってしまいます。この時のベテラン投資家からすると、スワップポイントを支払っても十分利益を出せるほど、円高予想に自信があったのでしょう。しかし結果的には、これが裏目に出てしまうのです。

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