はじめに

「分散投資+長期保有」で富裕層になるのは可能か?

どのような運用をするかについてはさまざまありますが、まず、一般にも広く言われている「分散投資+長期保有」の運用について、みていきたいと思います。2000年12月までに運用開始した、実在の分散投資のファンドで検証してみましょう。

*対象ファンドは、2000年12月までに運用開始し、資産タイプが資産複合(バランス)、純資産が20億円以上、為替ヘッジなしのファンド
*対象期間は、運用開始日から2022年4月28日
*最大下落率は、運用期間中の高値からその後の安値までの下落率
出所:楽天証券スーパーサーチにてマネーブレインが作成

はじめに、低リスクのファンドについてみていきましょう。年複利の平均値は+2.0%となっています。この値は10年で1.2倍、20年で1.45倍、30年で1.75倍、40年で2.1倍になるペースです。年齢別の金融資産保有額の中央値を考えると、低リスクファンドで1億円に持っていくには無理と言わざるを得ないでしょう。

次に、中リスクのファンドについてみてみましょう。年複利の平均値は+3.7%で、10年で1.4倍、20年で2.0倍、30年で2.8倍、40年で4.1倍になるペースです。このペースでも厳しいと言わざるを得ないでしょう。

高リスクのファンドについてもみてみましょう。年複利の平均値は+4.0%で、中リスクのファンドと大きく変わらない値で、10年で1.4倍、20年で2.1倍、30年で3.1倍、40年で4.6倍になるペースです。高いリスクを取ったとしても、厳しいと言わざるを得ないでしょう。しかも、リスクを取れば取るほど、増えたり減ったりのブレも大きくなり、局面によっては大きく資産が減ることにも耐えなければなりません。

このように「分散投資+長期保有」の運用では、普通の会社員世帯が1億円の金融資産に持っていくには厳しいと言わざるを得ないでしょう。では、どのようにしたらよいのでしょうか? 

景気循環を味方に付ける

皆さんも資産運用において、「景気が悪くてマーケットが下落しているときに買って、景気が良くなってマーケットが上昇したときに売ればよいのでは」という、ざっくりとしたイメージは持てるのではないでしょうか? 

出所:マネーブレインが作成

大きな流れでみると、株価はおおむね景気循環に応じて動いています。実際には、株価は景気循環の少し先を行く形で、不況のなかで既に株価は上がり始め、景気が拡大しているなかで天井を付け、下がり始める傾向にあります。この景気循環を味方に付けることが、資産運用していく上で最も運用効率がよいのではと私は考えています。

しかし、ここで難しいのが、どのように底を捉え、どのように天井を捉えるかです。「底と天井を捉えることができれば簡単だけど、それが難しいんじゃないの」と思われる方もいるでしょう。そこで参考として、私が日経平均を対象として運用する場合にみている指標をお伝えしていきたいと思います。

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