はじめに

株価の底値圏を捉えるには?

日経平均の底値圏を捉える上で私がみている指標は、FA(ファクトリーオートメーション)やロボットを扱っているファナック(6954)の在庫循環です。景気循環株とも言われる工作機械メーカーの1社であるファナックは、景気の動向に応じて売上高や在庫が大きく増えたり減ったり循環しています。この循環と日経平均に相関関係がみられるため、ウォッチしています。

*青枠は売上高、棚卸資産がともに減少となった最初の四半期
*ピンク枠は売上高、棚卸資産がともに増加となった最初の四半期
出所:ファナック株式会社の決算短信を基にマネーブレインが作成

この表は、ファナックの3カ月毎の四半期決算における売上高、棚卸資産の推移と、その前年比の増減率を一覧にしたものです。

通常、在庫循環は「出荷」と「在庫」、もしくは「生産」と「在庫」の関係でみますが、ここでは「売上高」と「在庫」の関係でみることとします。在庫は決算短信においては棚卸資産として記載されています。

この表において注目したいところは、青枠で示した「売上高と棚卸資産がともに減った最初の四半期決算」で、その決算発表日を買いタイミングとしてみています。

*買いタイミング(青矢印)は、(表2)「ファナックの在庫循環」において青枠で示した四半期の決算発表日
出所:楽天証券ホームページよりマネーブレインが作成

日経平均のチャートと青矢印との関係をみると、日経平均が上がり始める前段階の底値圏をおおむね捉えることができていると言ってよいのではと考えています。

株価の天井圏を捉えるには?

一方、天井圏を捉える上で私がみている指標は、日経平均の予想EPS(1株当たり利益)の前年比増減率です。

個別株への投資経験のある方はイメージできるかと思いますが、株価は利益のピークよりも前に下がり始める傾向にあります。利益が伸びていても、伸び率がピークアウトしてくると、株価は下落に転じてきたりします。それが、個別株の集合体である日経平均株価においても同じようにあると考えています。

*予想EPSは、来期予想と再来期予想を独自に調整し、5週平均したものを用いています。
*丸印は予想EPSがピークアウトした時期。そのうち、赤丸は表2「ファナックの在庫循環」においてピンク枠で示した決算発表日以降で、最初にピークアウトした時期
出所:IFIS提供データを基に、マネーブレインが独自分析し作成

このグラフをみると、前年比でピークアウトすると日経平均の上昇が一旦は止まっていることがみて取れます。注目したいところは、赤丸で示した「表2におけるピンク枠の決算発表日以降で最初にピークアウトした時期」で、その日を売りタイミングとしてみています。チャート1に、赤丸で示した時期を赤矢印で加えると次のようになります。

*買いタイミング(青矢印)は、表2「ファナックの在庫循環」において青枠で示した四半期の決算発表日
*売りタイミング(赤矢印)は、グラフ2「日経平均株価と予想EPSの前年比増減率」において赤丸で示したピークアウトした日
出所:楽天証券ホームページよりマネーブレインが作成

このチャートから、赤矢印が日経平均の天井圏をおおむね捉えることができていると言ってよいのではと考えています。加えて、青矢印で買い、赤矢印で売ったら、資産が増えていきそうに思えるのではないでしょうか?

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