はじめに

(3)令和4年10月 iDeCo併用の拡大

企業にお勤めの方は、会社で企業型確定拠出年金に加入しているという方が多いと思います。現行では、会社の企業型確定拠出年金の規約で同時加入が認められている企業はごくわずかなので、多くの会社では、iDeCoに同時加入することはできませんでした。

今回の改正で、多くの方がiDeCoに同時加入できるようになります。会社の掛金上限額(確定給付企業年金がない場合5.5万円、ある場合2.75万円)まで掛金が達している方は全体のほんの一部と言われています。多くの方は上限額までまだ枠がありますので、iDeCoとして決められている上限金額(企業型確定拠出年金が導入されている会社は2万円、さらに確定給付企業年金も導入されている会社は1.2万円)を積み立てていくことが可能になります。節税しながら老後の資金を貯められるiDeCoの活用枠拡大は大きな改正といえます。

60歳年金受取開始のつなぎ年金(個人年金)をiDeCoに活用

公的年金の受給開始年齢が60歳から65歳へ引上げが決まったのは、平成12年のことです。経過措置なども取られていますが、男性は昭和36年4月2日以降生まれ、女性は昭和41年4月2日以降生まれの方からは65歳受給開始に変わっています。

改正当時、定年は60歳、年金の受取開始は65歳。この5年間の穴を埋めるため、つなぎ年金を作りましょう、と民間の個人年金保険へ加入された方、多数いらっしゃるのではないでしょうか? そんな目的で積立てを始めた個人年金保険の受取が、そろそろ始まるという時期になっています。

今となっては、60歳定年もだんだん少なくなり、役職定年や雇用契約の変更などで、収入は減るものの60歳以降も同じ職場で働く方、新たな職場で働き始める方など、まったく無収入の方は少なくなっています。60歳から65歳までのために貯めてきた個人年金保険をすぐに使わなくても生活ができそうです。

コツコツ積立ててきた、個人年金保険。60歳から65歳まで、毎年契約の年金が振り込まれてきます。趣味やご家族のために使うことも一つですが、定期的な収入があり、つなぎ年金を使わなくても生活が保てるのでしたら、75歳以降の自分に仕送りするという方法を考えてみてはいかがでしょうか?

今回の改正で、iDeCoの積立期間が延長になっています。収入が多少減っていても、つなぎ年金の原資があれば、iDeCoの積立にまわすことができます。預貯金にそのまま入れておくと、日々の生活費になんとなく使ってしまう危険がありますから、この積立期間延長を有効に使いましょう。iDeCoであれば、積立をしている間、掛金が全額所得控除になるので、節税にもなります。

仮に毎月10,000円をiDeCoで積立てれば、年間120,000円。所得税率10%の方でしたら年間12,000円所得税の節税になります。プラス、翌年の住民税も1年間で12,000円の節税になりますので、合計24,000円の節税。計算すると96,000円の出費で120,000円貯金ができたことになります。使える限りiDeCoを活用した方が断然お得ですね。

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