はじめに
定年退職翌年の「確定申告」でお金が戻ってくる
1年間の給与や賞与の合計額が決まる年末に、勤務先は正しい所得税の金額を計算します。これを「年末調整」といいます。会社員や公務員は、毎月の給与や賞与から所得税が概算で差し引かれます(源泉徴収)。源泉徴収で集めた所得税の金額と、本来納めるべき所得税の金額の過不足を調整するのです。所得税をたくさん支払っていた場合は差額が戻ってきます。逆に、支払った金額が少ない場合は追加で納めます。
定年退職したあとに再雇用されたり、同年内に再就職したりして、12月末まで勤めた場合は、勤務先が年末調整をしてくれます。しかし、年の途中で退職すると、年末調整が受けられません。つまり、払いすぎた所得税があるかもしれないのです。
この所得税を取り戻すために、確定申告を行いましょう。確定申告とは、1年間の所得を計算して申告・納税する手続きです。確定申告では、条件を満たした場合に税金を安くできる15種類の「所得控除」が利用できます。
著書「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)より
所得控除のなかでも医療費控除、寄附金控除、雑損控除の3つは、そもそも年末調整では手続きできません。確定申告をすることではじめて受けられる控除です。「12月末で定年退職したので年末調整もしてもらった」という場合でも、これらの3つの控除は確定申告をすることによって所得を減らすことができます。
また、退職前に会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合は必ず確定申告を行いましょう。退職金から源泉徴収されてしまった20・42%もの税金を取り戻すことができるからです。
前述の通り、退職翌年の住民税は高くなる傾向にあります。
住民税は前年の1〜12月までの所得で決まった金額を翌年6月から翌々年5月にかけて支払うしくみだからです。確定申告で所得税を少しでも安くできれば、税金が還付されてお得なだけでなく、翌年の住民税も安くできますので、漏れなく申請しましょう。
会社も役所も銀行もまともに教えてくれない 定年後ずっと困らないお金の話 著者 頼藤太希
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