はじめに
世帯の実質の資産はいくらになる?
月々とボーナスの収支を見てきたので、続いて金融資産を確認します。現在の金融資産残高は、以下の通りです。
◆預貯金:1,600万円
◆投資(株式):400万円
◆iDeCo妻:300万円
◆iDeCo夫:700万円
◆払い込み済の保険(妻):480万円+550万円=1,030万円
すべて合わせると4,030万円になりますが、今後、退職金などまとまったお金が入る予定はありません。さらに、住宅ローンの残債は1,250万円あります。実質の資産は、2,780万円になります。
内訳をみていくと、iDeCoは60歳以降しか引き出せませんし、株式も現在半値になっているということでいま売却はしたくありません。払い込み済の保険2つは、すでに保険料の支払いも終わり、このまま放置しておけば老後には増えるので、できる限り手を付けないで放っておきたいところです。このように考えると、いまここに挙げた中で家計の赤字補填として使えるのは、預貯金の1,600万円だけということになります。
老後資金は極力維持。年金保険は払い済みで家計の赤字を縮小
家計全体を見渡すと、夫さんの独立以前に、夫婦で老後に向けた資産形成をある程度してきたことがわかります。今後は、目先のピンチによっていまある老後資金をなるべく取り崩さないことが重要になります。
保険には、以後の保険料の支払いをストップする「払い済み」という方法があります。解約ではなく払い済みにすることで、保障のサイズを縮小した保険を継続することができます。これまでに支払った保険料については、従来通りの予定利率で運用が続けられるのがメリットです。加入している保険によっては払い済みにできない場合もあるので、保険会社に確認してみましょう。
年金保険を払い済みにできれば、毎月の家計赤字は3万7,000円から2万1,000円まで縮小できます。このほか、夫婦それぞれ月5,000円ずつ拠出しているiDeCoもしばらく拠出を停止して運用指図者(※)になりましょう。なお、家計の状況が改善したら、ふたたび再開するとよいでしょう。
(※)資格喪失届を提出し、毎月の掛金の拠出を止め、これまで積み立てた資産の運用を続ける者のこと。