はじめに
雑所得と一時所得でどう違う?
自身の仕事として競馬の投票ソフトを作成し、どんな条件でどんな確率でどの枠の馬が1着になるかをプログラミングした方がいました。そして、そのソフトを使って、毎開催ごと全レースに投票したのです。この方のしていることが「趣味のギャンブル」ではなく、「業務で必要な行為」と認められて「雑所得」として申告することができました。こんなことが認められるのは、大変珍しいケースです。
通常、一時所得なら「当たり馬券を買ったときに購入した投票券の費用」のみが経費となりますので、ハズレ馬券を買った金額については経費としては認められません。ところが、このプログラミングのため馬券を買った方は「すべての馬券購入費を経費として計算してOKですよ!」と言ってもらえたんですね。この判決が出た当時は、世の中がどよめきました。
雑所得になり経費と認められることのメリットとして、もうけとなる所得が減るため税金が減ることがあります。ギャンブルは、当たる方より外れてしまう方が圧倒的に多くなければ成立しません。もしハズレ馬券を買った購入費用も経費として認められると、国税庁としても大勢のギャンブラーの方々から多額の経費を申告されて、納めてもらう税金が激減してしまうこととなります。そのため、税の法律で業務としての購入でなければ雑所得として認められない、となっているんですね。
ちなみに、多くの方に馴染みがある「給与所得」の場合、会社が所得税を計算してくれて、毎月の給与から「源泉徴収」といって、事前に所得税を差し引いて、残りが手取りとして支給されています。
事前に引かれるものとしては、所得税のほかに住民税や社会保険料もありますね。今いちど、毎月の給与明細をチェックしてください。
お店や副業をしている方が該当する「事業所得」については、優遇制度などもありますが、基本的には入ってきた売上の金額から、出ていった経費の金額を差し引けば残りが「もうかった分」として「所得」となります。一番わかりやすいですね。
一方、給与については「経費」なんて使いません。しかし、社員として会社に通う上で、何らかの出費はしていますよね? でもいくらぐらい使っているかわからないので、「もうけた分」というのを計算するのは難しいです。
そこで、「給与所得控除額」と言って、「給与の人は収入の金額を計算式に当てはめて、その金額を経費みたいに引いて計算してOKだよ」というルールがあるのです。
※参照:国税庁ウェブサイト
例えば、給与で年収が400万円(税などを引く前の金額)の方なら、一覧表の上から4段目「360万円超〜660万円まで」になるので、「400万円×20%+44万円=124万円」を経費のような扱いで引いてもらえます。よって、「400万円ー124万円=276万円」が給与所得の金額となります。