はじめに

早期退職は可能。ただしあらかじめ収支を把握して

まず、早期退職は可能かどうかを考えてみます。

現在の毎月の支出額は、およそ30万円。お小遣いが10万円になっていますが、半額の5万円にして、90歳までの33年間の生活費を考えてみます。この場合は、25万円×12カ月×33年間=9,900万円です。その他、医療費として、24万円×33年間で792万円、60歳までの国民年金保険料1万6,590円(2022年度の保険料金)×12カ月×3年間=59万7,240円です。

ざっくりとした金額になりますが、これらを合計すると、33年間の支出額は1億751万7,240円になります。

一方の収入を考えてみます。現在の貯蓄額は8,400万円、投資額は700万円ですので、単純計算で9,100万円です。また、65歳から公的年金を受け取ることが可能になります。相談者様の年金額が不明なので、ここでは、厚生労働省が発表した令和2年の全国平均の厚生年金の受給額(14万6,145円)を受給できるものとします。わかりやすく、1カ月14万円として計算した場合、90歳まで25年間で受給する公的年金額は、14万円×12カ月×25年間=4,200万円です。

すると、収入の合計額は、9,100万円+4,200万円=1億3,300万円です。実際に受け取れる年金額は、さらに多いかもしれませんが、頂いているデータで計算しても、2,500万円強の黒字になります。

こちらの金額は、あくまでも仮の金額です。年金額等、実際に受給する金額で試算することをおすすめします。

参考:令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

実家の相続をどうするか

相談者様もご存知のように、現在はご両親と同居していないため、このままでは相続が発生したときに、「小規模宅地等の特例」(※)に該当せず、相続税評価額に対して最大80%の減額を受けることができない可能性が高いでしょう。同居を考えているのなら早めに同居を開始し、特例の基準である完全同居をしたほうが、ご両親も心強いでしょう。

ただし、気になるのは相談者様の持病のことです。私にも持病があり通院を続けているのですが、新たな病院を探すとなると、なかなか思い切ることも難しいのではないでしょうか?

ご両親は「自由にしていい」とおっしゃってくださっていますので、相談者様がどうしたいのかが重要です。

現状で相続が発生した場合は、ご両親のいずれかと相談者様が相続し、その次の相続で相談者様が単独で相続(兄弟姉妹がいない場合)になります。

ご両親の介護が始まったときには、もう一人の親御さんの負担になってしまいますので、できるだけ早く同居したほうがよいのかもしれません。とはいえ、大切なのは、相談者様自身が将来、ご実家のある名古屋で暮らしたいのか、それとも東京で暮らしたいのかです。

いくつかのパターンを考えて、自分の進むべき道を考えてみてください。

※参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

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