はじめに
給与から天引きされる税金
この、住民税の納付書ですが、給与のみを収入として生活している会社員の方は、まず目にすることがありません。なぜなら、住民税の納付は、会社が本人に代わって納付してくれているからです。その金額はもちろん、ご自身の給与から毎月差し引かれていますので、給与明細をみれば、自分の住んでいる町に納めている住民税の金額はわかりますね。
つまり収入が給与のみなら、所得税は会社が「源泉徴収」といって、毎月少し多めに引いておいて年末調整で精算してくれます。一方、住民税は後払いにより12で割った金額ずつを毎月会社が納めくれているのです。これを自分で納めず「特別」に会社がまとめてやってくれていることから「特別徴収(とくべつちょうしゅう)」と言います。割り切れない端数は最初の6月分で上乗せされているので、6月だけ少し高めで7月から翌年5月までが同じ金額になります。
そのため会社員の方が「納付書」を目にするのは、自動車税や固定資産税ぐらいでしょうか?
副収入があっても住民税納付書が届かないケースも
一方、会社員でも副収入があって「所得税の確定申告書」を出した場合は、住民税の納付書が届く人とそうでない人の2つに分かれます。いったい何が違うのでしょうか?
給与収入(年末調整で精算されているもの)以外に収入がある方は、そのもうけが20万円以上あれば「所得税の確定申告」をすることになります。この申告の時にチェックすべき項目があります。それは住民税の取り扱いです。
確定申告書の2ページ目に「住民税に関する事項」という項目があり、「給与以外の収入については会社を通さずに自分で納めますか?それとも全部まとめて会社で処理してもらいますか?」と聞かれます。
画像:国税庁ウェブサイト「申告書A【令和3年分用】」より引用
自分で住民税の納付書を使って納付する場合は「自分で納付(普通徴収)」、会社でまとめてやってもらう場合は「給与から天引き(特別徴収)」という欄に「○」をつけます。会社に副業がばれたくないという方は、「自分で納付」の欄にグリグリと○印をつけていることでしょう。
その結果、給与分の住民税については、その税額の通知が会社に届き、副業を始める前と同様に何事もなかったように、翌年6月分から新たな税額で給与から天引きがスタートします。給与以外のもうけ分については、自分のところに住民税の納付書が届き「6月から納めてください」と言われます。
初めて住民税の納付書を受け取った方は、「ちゃんと確定申告して税金も納めたのに、まだ何か納付がいるの!?」とビックリする方もいるでしょうね。所得税と住民税は国と住んでいる自治体、それぞれ納付する先が違います。どちらも納めなければならないものですので、驚いていないでちゃんと納付してくださいね!
副業を始めて最初の確定申告を行った方から、実際に「こんな時期に納付書が来たんですが、何か手続きを忘れていたのでしょうか?」とお問合せをいただいたことが何度かあります。こうして副業を始めることで、ご自身の税に対する理解が深まったと思います。
そして、給与分については会社から横長の住民税決定通知書を受け取ることになります。これは「あなたの住民税が年間いくらだから12カ月で割って、6月分からこの金額が天引きになりますよ」というのを知らせる通知書です。これは副業をしてもしていなくても同じです。
今までちゃんと見ていなかったですって? なんて……嘆かわしい!