はじめに

政府も2兆円の支援で後押し

政府は、2020年10月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。この目標は、従来の政府方針を大幅に前倒ししており、エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションといった現行の取組を大幅に加速することが必要でした。

そこで各企業の挑戦を後押しすべく、2兆円の「グリーンイノベーション基金」をNEDO (新エネルギー・産業技術総合開発機構)に創設しました。NEDOは官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業等に対して10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援します。

NEDOはその2兆円の予算から約498億円分を新型の太陽電池「ペロブスカイト型」の開発支援に充てる事を発表しています。新型の太陽電池「ペロブスカイト型」の特徴は、既存の太陽電池に比べ製造工程が少なく、プラステックなどの基板の利用が容易で、軽量かつ柔軟性に特化している事です。また、主要な材料であるヨウ素の生産量は、日本が世界シェア30%を占めています。

富士経済がまとめた、新型・次世代太陽電池の世界市場と開発動向の調査によると、2035年の世界市場は、21年比22.6倍の8,300億円になる見通しで、既存の太陽電池との併用や代替による「ペロブスカイト型」の太陽電池が伸長し、大幅に拡大する予測が公表されました。


但し、太陽光発電にもいくつかの問題点があります。経産省は使用済みの太陽光パネルの廃棄量が2035年から2037年にピークを迎え、産業廃棄物の最終処分量の1.7~2.7%に相当するとの見通しを明らかにしました。廃棄物の取り扱いは今後の大きな課題です。

また、天候によって発電量が影響を受けたり、太陽光発電システムを製造するときに二酸化炭素を排出する事や、住宅価格の上昇につながりかねないと懸念する声もあります。

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