はじめに
暗号資産を預け入れる際の注意点、過度なレバレッジは禁物
暗号資産ではレンディング、イールドファーミング、ステーキングを組み合わせることで資金効率を上げて取引することができます。イールドファーミングでは流動性提供者としての権利を表すLP(LiquidityProvider)トークンを受け取ることができ、ステーキングでは一部の代行サービスを通じて同様のst(Staked)トークンを受け取ることができます。さらにレンディングでそれらを担保にお金を借り入れることもできます。
3ACが具体的にどのような投資戦略をとっていたかまでは明らかになっていません。しかし、3ACが投資先の暗号資産を単に保有するだけでなく、イールドファーミングやステーキングも一部で織り交ぜながら、レンディングで保有する暗号資産を担保にお金を借り入れて、複雑なレバレッジ取引を活用していたことは間違いありません。
暗号資産を担保にお金を借り入れる場合は、急な価格変動によって担保価値が下落するリスクがあります。その点を考慮して暗号資産のレンディングでは過剰担保が一般的となっています。このようなリスクも暗号資産の価格が上昇しているときには問題になりませんが、2022年5月以降の暴落局面では取引が複雑であるほど担保価値の下落とともに大規模な清算が引き起こされてしまいます。
おそらく昨年までの上昇相場のなかで、3ACのように過度にリスクをとってしまった個人投資家もいることでしょう。暗号資産を預け入れては色々な形で金利が付与され、さらにはお金を借りて追加投資に回すことができ、錬金術のようにお金が増えた時期もあったかもしれません。しかし、リスク管理を適当にしてしまうと想定外の価格変動をきっかけに、自分たちの資産が一瞬にして消えてしまうことになります。
今では3AC以外にも相場の暴落によって破綻申請や財務再編に追い込まれている暗号資産関連企業が次々に出ています。レバレッジをかけてビットコインを購入し続けているマイクロストラテジーが、これから同じ状況に陥る可能性もあります。そのときはビットコインの価格もさらに下落することでしょう。暗号資産では過度なレバレッジが禁物であるということを改めて考えさせられます。