はじめに

日本国内でもインフレ進行、一方で欧米よりは相対的に緩やか

まず日米欧の消費者物価(CPI)について簡単に見ていきます。昨年半ばくらいから欧米を中心とした物価上昇は話題になってきましたが、以降世界的な物価上昇が加速しています。そのような中で、長年デフレが続いている日本においても、インフレの波は押し寄せています。

まず欧米のCPIを見ると、アメリカやヨーロッパは本来の目標値である2%を大幅に超過し、前年比8%を超える水準まで上昇しています。アメリカに至っては、6月分のCPIは約40年半ぶりの上昇率となりました。インフレが収まらない状況下で、7月も金融引き締めが加速するとの観測が強まっています。

日本にも久しぶりのインフレが来ており、携帯料金引き下げの影響が剥落した4月分以降はインフレの目標値である2%を超えている水準になっています。一方で欧米の水準と比較すると急激な金融政策の変更を強いられるほどの上昇ではなく、株式市場に大きな影響を与えるほどではないと言えます。

インフレへの警戒感が強まるが、企業には追い風か

久しぶりのインフレに対し、国内の消費者はどう受け止めているのでしょうか。ここでは内閣府が行っている消費動向調査における、1年後の物価の見通し(二人以上の世帯)の調査結果をとりあげます。これを見ると、最新の2022年6月「上昇する」と答えた割合が94.2%にのぼっており、物価の上昇を見込む割合が顕著に増加しています。内訳を見ても、2022年に入り5%以上の上昇を予想する比率が増加し、最新のデータでは60.9%に拡大しています。大半の消費者が物価上昇に身構えている状態と言えるでしょう。

気になるのは今後のインフレ動向です。今回の物価上昇は資源高をはじめとする供給側が大きな要因であり、2022年に入ってからメディアでも物価上昇は幅広く報道されてきました。企業側に視点を移すと、消費者が物価上昇に身構えている状況は値上げしやすいとも考えられます。消費者にとっては負担が増えますが、コスト増に対し価格転嫁が進めば、企業業績にはプラスになるとも捉えられるでしょう。しばらくはインフレ傾向が続くかもしれませんが、インフレが企業の戦略に与える影響を銘柄選びの参考にしてみてもよいかもしれません。

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