はじめに

6つの節税方法

会社員ができる具体的な節税方法として、次のようなものがあります。

1.扶養控除
仕事を引退して年金生活をしている両親や、16歳以上の子どもを扶養に追加することができます。その場合、扶養者控除を受けることが可能です。

両親が国民健康保険に加入している場合には、受け取っている年金収入の金額によっては健康保険の扶養に追加することができます。それにより、両親が負担する国民健康保険料の支払いが不要になります。

2.生命保険料控除
(1)生命保険料控除、(2)介護医療保険料控除、(3)個人年金保険料控除の3つで、それぞれ年間最大で4万円(年間保険料8万円以上の場合)ずつの控除を受けることができ、最大で12万円の控除を受けることができます。

控除を受けられるからと言ってムダな保険に加入する必要はありませんが、将来の資産形成のための保険など、まだ控除枠が残っている保険があれば活用するのも良いでしょう。

3.住宅ローン控除の活用
一定の条件を満たす住宅ローンを組んでから10年間、もしくは13年間、住宅ローンの年末時点での残高の1%、もしくは0.7%を所得税、住民税から引くことができる制度です。2022年4月以降より0.7%に引下げになった代わりに、控除期間が13年に延長されました(※消費税増税の影響緩和のため一時的に13年になっていた時期もあります)。

仮に3,000万円のローンが残っているとした場合に、0.7%の控除だと21万円税金が安くなります。

金利を節約しようと急いで住宅ローンを返済すると、住宅ローン控除の額も減らしてしまうこともあります。住宅ローン控除のこともよく考えて返済計画を立てていくと良いでしょう。

4.ふるさと納税
ふるさと納税の計算は少し複雑ですが、納税額が「寄付金控除」となります。ふるさと納税で寄付した金額のうち2,000円を超える金額が、住民税の控除や所得税の還付として戻ってきます。所得によって上限額が変わりますが、仮に5万円分のふるさと納税を行った場合には、ふるさと納税を行う金額は5万円でも、内48,000円分の所得税、住民税が安くなります。それにより、実質負担2,000円で各地の名産品などを買うことができます。

5.勤務先で確定拠出年金に加入している場合「マッチング拠出」を利用する
マッチング拠出とは、勤務先で確定拠出年金に加入している場合、会社の掛け金と合計して55,000円を上限に個人でも掛け金を拠出することができる制度です。個人で拠出した掛金については全額が「小規模企業共済等掛金控除」になり、節税が可能です。

6.iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用する
iDeCoの掛け金は、その全額が所得控除の項目のひとつ「小規模企業共済等掛金控除」にあたります。そのため、掛金の分「(3)課税される所得」を減らすことができます。

また、2022年の年金制度の改正に合わせて、10月以降にiDeCoは企業型確定拠出年金と併用しやすくなります。

これまで、企業型確定拠出年金の加入者はiDeCoを併用するためには企業の規約で併用を可能とする旨を定めてあることが条件でしたが、今回の改正で規約の有無に拘わらず、マッチング拠出を利用していない場合には併用が可能になります。

また、これまでiDeCoは60歳までしか加入できませんでしたが、今後、会社員や公務員が該当する第2号被保険者は65歳まで加入できるようになります。制度改正によって、iDeCoはより幅広い人が資産形成できる手段になっています。

会社員でも節税手段はある

ここまで、会社員ができる節税について解説してきました。個人事業主に比べると、節税の手段は多くないですが、上手に組み合わせて活用することで、より節税の効果も期待できるでしょう。

特にiDeCoの制度改正によって、これまでiDeCoに加入できなかった人も加入できるようになり、有効に活用できる人も多いはずです。

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