はじめに

控除がなくなると大ダメージ! いくら税額が増える?

そんな「扶養の壁」の中でも、特にこの夏休みで気になる「学生のアルバイト」に関する「税の扶養控除の壁」について見ていきましょう。

配偶者控除や扶養控除は「38万円引いてくれる」というイメージをお持ちの方が多いとおもいますが、実は扶養のタイプによって引いてくれる「控除額」が違います。

参照:国税庁ウェブサイト「No.1180 扶養控除」

みなさん、気づきましたか? そう、とびっきり高い控除額がありますね!

その燦然と輝く「63万円」の文字、なんて……喜ばしい! ところで、表にある「特定扶養親族」とは、いったい何でしょうか?

特定扶養家族とは、給与収入が年103万円以下の扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の方をいいます。この年齢なら、所得税の計算をするとき、通常38万円控除が受けられるところを、な、な、な、なんと25万円アップの63万円控除しちゃいます!

……通販番組のように、思わず力が入ってしまいました、つまり「大学生ぐらいの子を抱えている人は金銭面で大変でしょう? 税金安くしておきますね〜」ということなんだと思います、ありがたいですよね!

ちなみに、所得税だけでなく住民税でもちゃんと多めに控除をしてくれます。住民税の扶養控除、通常33万円のところを、なんと45万円、こちらも12万円の控除額が増えてお得に税額計算されるということです。ただし、いずれもお子さんが16~18歳の場合は、一般の控除対象扶養親族となるのでご注意ください。

それでは、103万円を超えると特定扶養家族の場合、実際の節税額がどうなるかを見ていきましょう。

所得税は所得の合計=年収によって、5~45%で税率が動きます。標準的な税額は10%です。住民税は全員固定で10%です。

所得税:63万円 × 10%=63,000円

住民税:45万円 × 10%=45,000円

【合計】108,000円

なんと、アルバイトでもらう給与が年間103万円を超えてしまうことで、親の税金が合計108,000円も増えてしまうのです。さらに年収が高い場合、税率も高くなり、最大で45%の所得税率となります。

所得税:63万円 × 45%=283,500円

住民税:45万円 × 10%=45,000円

【合計】328,500円

つまり、アルバイトをしすぎてこの控除がなくなってしまうと、親の税金が最大328,500円も増えるということです。恐ろしい金額ですね……ただし、見方をかえれば、この特定扶養親族という属性と、その控除金額を頭の隅に置いておくだけで、我が子に10万円お小遣いあげてもよいぐらい節税効果がある、とも言えます。


バリバリとアルバイトをしている我が子の収入が気になりはじめた方や、「お小遣いを多めにあげて調整してもらわなきゃ!」と思われた方もいるかもしれませんね。

配偶者だけではなく、19〜22歳の子どものアルバイトにもアンテナを立てて、「うっかりしていて税金を10万円も余分に払った」「30万円以上余分に払った」という嘆かわしいことの無いように、親子間でもしっかり情報を共有して対策しましょうね!

この記事の感想を教えてください。