はじめに

銀行に預金しても金利はほとんどつきません。生活資金は銀行の普通預金に預けておけばよいでしょうが、資産を増やしたいときには銀行の定期預金はあまり役に立ちません……。そこで、個人向け国債について検討してみましょう。


普通の国債は利払いと償還額が決まっている

普通の国債は、当初から将来の利払い額と償還額(満期に払い戻される金額)が決まっています。この点は、銀行の定期預金と同様です。

普通の国債には、個人だけが買える「個人向け国債」と、誰でも買える「新窓販国債」がありますが、現在の金利などを考えると、個人向け国債が圧倒的に有利ですから、今回は個人向け国債について学んでいきます。

なお、個人向け国債には3年物、 5年物、10年物がありますが、10年物は変わり種の国債ですので今回は省略し、3年物と5年物についてお話します。

定期預金よりも金利が高く、安全

国債は国の借金です。「日本政府が破産するかもしれないから安全ではない」と思っている方もいるかもしれませんが、日本政府が破産するときには日本の銀行も破産するでしょうから、銀行の方が安全だということはありません。

金利は年率0.05%ですから、多くの銀行の定期預金よりは幾分かは高めです。安全性が高く、金利も高いのであれば検討に値するでしょう。銀行の窓口で買えますから、定期預金と比べて手間がかかるわけでもありません。

解約せずに銀行から融資が受けられる場合も

個人向け国債は、発行後1年間は原則として換金できません。その後は解約できますが、直前2回分の受取利息分が差し引かれますから、途中で解約する場合には銀行の定期預金の方が有利かもしれません。

銀行が個人向け国債を担保に融資してくれるケースもあるようです。

銀行ではなく、証券会社で購入するメリット

証券会社によっては、個人向け国債を購入した顧客に現金をプレゼントするキャンペーンなどを実施しているところもあるようです。個人向け国債を販売すると政府から手数料がもらえるので、その一部を顧客に還元しようというわけですね。

これも金額的にはわずかですが、銀行預金より有利である点のひとつですね。証券会社に口座のない人は、口座開設の手続きをしなければなりませんが、証券会社にとっては新規顧客獲得のためのキャンペーンという意味合いもあるのでしょう。

塚崎 公義
久留米大学商学部教授 1981年東京大学法学部卒後、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。「退職金貧乏 定年後の『お金』の話」「老後破産しないためのお金の教科書」「増補改訂よくわかる日本経済入門」「世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書」「なんだ、そうなのか! 経済入門」「経済暴論」など著書多数。

(記事提供:Mocha

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