はじめに
預金と学資保険で教育費は心配なし
預金が1,000万円と学資保険が340万円ありますから、これらを充てれば、文系・理系にかかわらず、ほとんどのケースで授業料は十分カバーできます。私立の理系で大学院まで進学し、6年間ひとり暮らしもするとなると、これだけでは足りませんが、その場合も2,000万円の退職金の一部を充てれば間に合うでしょう。
すでにある預金と学資保険、退職金の一部で十分に教育費を用意できるので、個人年金の受け取り方法については教育費とは分けて考えられます。これから入ってくる退職金や企業型確定拠出年金等、公的年金等とあわせて、受け取り方を考えていきましょう。
退職金の税金は退職所得控除で0円に!?
ご相談者さんは退職金を2,000万円受け取る予定ですね。まずはこの税金について考えていきましょう。
退職一時金は、税負担を軽減する退職所得控除が利用できます。受け取った退職金から、勤続年数に応じた退職所得控除を差し引いて、さらにその金額を2分の1にした額に税率をかけて税額を計算します。
【退職所得の計算式】
{収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額} × 1/2 = 退職所得の金額
【退職所得控除】
勤続年数(=A)
20年以下:退職所得控除額=40万円×A(80万円に満たない場合は80万円)
20年超:退職所得控除額=800万円+70万円×(A-20年)
具体的にご相談者さんのケースで考えてみましょう。勤続年数が38年とした場合、退職所得控除はこのようになります。
800万円+70万円×(38―20)=2,060万円
退職金が2,000万円、退職所得控除が2,060万円を、退職所得の計算式に当てはめるとこのようになります。
(2,000万円-2,060万円)×1/2=0円
退職所得が0円になるため、ほかに合算する所得がなければ、退職金にかかる所得税・住民税は0円になります。