はじめに
企業型確定拠出年金の受け取り方法は3つ
ご相談者さんは企業型確定拠出年金にも加入しています。2022年5月の制度改正によって企業型確定拠出年金は、60歳から75歳になるまでの間に受け取り開始をすればよくなりました。
企業型確定拠出年金には3つの受け取り方法があり、どれを選ぶかによって課税方法が異なります。
(1)一時金:退職所得控除の対象。退職一時金があれば合わせて計算
(2)年金:公的年金等控除の対象。公的年金等にかかる雑所得として計算
(3)一時金と年金の組み合わせ:一時金部分は退職所得控除、年金部分は公的年金等控除の対象
ご相談者さんの場合には退職金で退職所得控除の枠をほぼ使いきっています。そのため、企業型確定拠出年金を一時金で受け取っても退職所得控除はほとんど利用できません。
年金として受け取る場合は公的年金等控除の対象になる
年金として受け取る場合には、公的年金と同じく公的年金等控除の対象になります。
計算式は以下の通り。図表と合わせてごらんください。
「公的年金等にかかる雑所得=(a)×(b)-(c)」
控除枠を活用できない場合も
ご相談者さんは65歳以降、公的年金を220万円受け取る予定ですが、この場合の控除額は110万円です。65歳以降、企業型確定拠出年金を年金で受け取っても、すでに控除枠を利用しているため非課税メリットはありません。
企業型確定拠出年金の受け取りに控除を利用したいなら60-64歳の5年間になりますが、ご相談者さんは、退職後も再任用で働き続ける予定があります。60歳以降も企業型確定拠出年金に加入し続ける場合には、この限りではありません。
また、63歳頃から特別支給の老齢厚生年金の受け取り開始が始まると、控除枠はそちらで使われます。つまり、60歳前半でも控除枠はあまり期待できません。