はじめに
バフェットの投資手法「バリュー投資」
投資の神様と呼ばれるバフェット氏は、割安株に投資する「バリュー投資」をしていることで有名です。バリュー投資とは、実際の価値よりも割安に放置されている株を購入し、本来の価値まで株価が上がったら売却益が狙える、という投資手法です。投資先を選ぶ基準は安定的なキャッシュフローなど極めてシンプルです。
バフェット氏が、株価が割高か割安かを測るために使っているとされるのが「バフェット指数」です。
バフェット指数 = 株式市場の時価総額 ÷ 名目GDP × 100
名目GDPという物価の変動などを反映した実際の経済に対して株式市場の時価総額を比較して、割高か割安か判断するわけです。主に50~150%の間で推移しており、低いほど割安となります。
実際のパフォーマンスはどうなのかも気になるところでしょうか。冒頭で紹介した日本の5大商社は、2020年8月のバークシャーが購入時点から、現在ではいずれも大きく株価を上げています。
足元では赤字のバークシャー・ハサウェイ
2022年の上半期、米国の株式市場は大きく下落したので、米国株投資家には厳しかった相場環境だといえるでしょう。実はバフェット氏でも6兆円近い赤字を出しているようです。
バークシャー・ハサウェイが8月6日(土)に発表した2022年4-6月(第2四半期)決算は、最終損益が437億5,500万ドル(約5兆9,000億円)の赤字となりました。四半期の赤字額としては新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年1-3月期以来、過去2番目の大きさです。
投資ファンドに近い性質を持つ株式会社のため、バークシャーの最終損益は相場に左右されやすく、米国会計基準では保有する上場株の評価損益を最終利益に反映させるのですが、投資目的で保有する上場株に評価損が発生したことが赤字の要因のようです。
安定的に稼ぐ力を反映する営業利益に注目するようバフェットは投資家に呼びかけており、保険と鉄道事業が寄与して第2四半期の営業利益は前年同期比39%増の92億8,300万ドルとなっています。
バークシャーは2022年に入って攻めの投資スタイルに変えており、2022年1-3月期に511億ドルの株式を新規購入しています。同4-6月期も株式を買い越ししており、「長期的には今はチャンス」と投資の神様・のバフェット氏は考えていると言えそうです。
相場急落はバリュー株投資のチャンスとしているバークシャーは、短期的に赤字でも長期的にはしっかり利益を出してくる、と期待したいところです。