はじめに
為替レートの変動で儲けようとしないこと
このようにトルコリラは、表面上の金利が高いからといって、必ずしも有利なリターンにつながるわけではないことを示すための好例ですが、為替レートの決定理論としては、「金利平価説」や「購買力平価説」、「貨幣数量説」などいろいろあります。
「金利差で外貨投資することが必ずしもリターンにつながるわけではない」というのは、金利平価説に基づいた考え方で、国内通貨を保有していても海外通貨を保有していても、将来的な実質価値は同じになると仮定し、より金利の高い国の通貨は減価すると考えます。
この説に則っとると、結局のところ金利差に注目して、より高い金利の外貨建て金融商品を購入したとしても、最終的には為替レートで調整されるので、金利差分の儲けは取れないことになります。
たとえば現在のドル円が1ドル=130円で、米国の政策金利が2.50%、日本の政策金利が0%の場合、
130×(1.00/1.025)=126.82
という計算式が適用され、より金利が高いドルは、日米金利差分だけ減価します。前述したトルコリラは、まさにこの金利平価説に則った形で、減価し続けているのです。
ちなみに、為替先物予約を用いて為替変動リスクをヘッジする際の、先物レートは、国内外金利差によって決定されます。その意味では、金利平価説は、外国為替取引の実務にも活かされているのです。
ただ、これはあくまでも理論上の話であり、為替レートの決定要因は他にもたくさんあります。それをひとつずつひも解いて将来の為替レートを推測し、リターンにつなげるのは困難です。
そのうえ、外国為替レートは多分に市場参加者の心理によって変動する部分もあります。市場参加者の心理を的確に読み取ることなど、まず不可能なので、その意味でも海外投資をする際には、為替レートの変動に損益を大きく左右されるようなものは避けるべきなのです。