はじめに
割高局面での米ドル買いの戦略
以上からすると、最近のように米ドル高・円安が長く続いたことで、結果的に米ドル割高となった局面での米ドル買いで最も重要なのは、「許容出来る損失額」の自覚ということになるでしょう。簡単な言い方をすると、下落リスクがほとんど無限と言ってもいいほど大きい割高局面での米ドル買いにおいてこそ、いくらまでの損失は我慢できるかの自覚が必要だということです。そして、それを踏まえた上で、割高局面での米ドル買いの戦略は、主に以下の3つが課題になるでしょう。
1つ目は、米ドル買い規模の抑制。平たく言えば、「ここまでなら損しても許容できる」規模にとどめるということ。これは、割安局面でまとまった規模の米ドル買いを長期保有の目的で行うこととは大きく異なります。
2つ目の課題は、損失を最低限にとどめるべく、ストップロス(損切り)注文を付けるということ。米ドル買いの場合のストップロスは、逆指し値の米ドル注文となります。ではその設定をどう決めるかと言えば、それこそまさに「許容出来る損失額」から逆算するのが基本になるでしょう。
そして3つ目は、小まめな利益確定です。割高修正が本格化すると、米ドルも急落する可能性が出てきます。今回、7月末からの約1週間で起こった米ドル急落は、まさにその結果だった可能性があるでしょう。
そういった中では、せっかくの含み益もあっという間に消滅する危険があります。回避するためには、小まめに利益を確定する、別な言い方をすると含み益のままにしておかないといったことが必要になるでしょう。この点もまた、割安局面で米ドルを買い、それを長期で保有する方法とは全く異なることとして理解する必要があるでしょう。