はじめに
副業をはじめたらやるべきこと
さて開業届を提出して、副業を始める準備はできました。「開業届を出したからもう安心」ですって? なんて……嘆かわしい! 次にやることがまだあります。それは、年明けに行う所得税の確定申告に向けての準備です。
開業届を出した方は、事業主として事業所得があることになります。給与所得と違って、事業所得は自分で計算をしなければ誰も計算をしてくれる人はいません。つまり、事業主となった方は毎年必ず確定申告を行って、事業としての収入や支出が1年間でいくらあったのかを、税務署に申告する必要があります。
事業主は確定申告をする際に、収入と支出がどんな内容でいくらぐらいあったのかを一覧表にして、確定申告書に添付する必要があります。この一覧表を作る事で収入と支出の集計ができてもうけである所得が計算され確定申告書に記入する「所得」が分かるという流れです。この集計を行うための一覧表については、帳簿をきっちりつけているかどうかによって、2種類の集計表に分かれます。
きっちりと「複式簿記」という方法で帳簿をつけている人は「青色申告」と言って、確定申告書に添付する集計表は4ページ綴りの「青色決算書」と言う詳細な集計表となっています。月ごとの売上や仕入を記入が必要など、税務署への報告内容がやや多くなっています。
そこそこの帳簿ですよ、という人は「白色申告」と言って確定申告書に添付する集計表は2ページ綴りの「収支内訳書」という書類を作ることになります。そこそこの帳簿というのは、複式簿記とかまではわかっていなくても、日付と金額と内容はちゃんと書いていますよ、という程度の帳簿です。「白色申告だから帳簿つけなくて良いんだよね〜」なんて、昔の制度そのままで勘違いされている方がいるようですが、白色申告でも最低限の帳簿は要りますので注意してください。
ちなみに、「開業届を出していないので、私は白色申告ですか?」と聞かれることがありますが、開業届を提出していない方の副業での収入は「雑所得」となり、「事業所得」ではないので何色もありません。青色か白色かは「事業所得」のときのみです!
開業届と一緒に青色届けを!
キッチリ帳簿の青色申告を行う人は、税金を計算する上で税を安くする優遇措置があります。もうけから65万円を引いて税の計算をしてくれる、マイナス(赤字)のときは3年まで持ち越して儲かった時に引いてくれるなど、いろいろな優遇がありますので、詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認ください。
※参照:国税庁ウェブサイト「No.2070 青色申告制度」
「ちゃんと開業届をだしたから『青色申告』だよね」ですって? なんて……嘆かわしい! その優遇を受けるためには、帳簿をつけて青色決算書を作る前に、事前にやっておかなければならない手続きがあります。それは青色申告の承認申請書を提出しておくことです。
提出期限は開業した日から2カ月以内で、うっかり過ぎてしまった場合はその年の青色申告はできなくなります。
なお、確定申告は毎年3月15日が締め切りとなっています。つまり、令和5年分の確定申告を「青色申告」で行いたい場合は、令和5年の3月15日までに申請を出さなければなりません。それを過ぎると、「令和5年分は白色申告で提出してね」ということになります。
青色届けは開業のタイミングで一緒に提出することもできます。「青色申告で始めるぞ!」という方は、開業日から2カ月以内に提出するように気をつけましょう。
副業に関する誤解は解けたでしょうか?
これから副業をしたいと検討している方や、すでに取り組んでいる方にとって、不安解消の一助になれば幸いです。正しい知識でできる節税もたくさんありますので、しっかりとお金や税の情報にアンテナを張って、自分に合った方法を見つけてくださいね。