はじめに
相続した株式はそのままの証券口座で保有を続けることに
昨年お父様が亡くなり、Aさんは株式と国債を相続しました。Aさんのお父様は生前、株式投資が趣味でした。亡くなる数カ月前まで、取引先の証券会社に電話注文をしていたほどです。そんなお父様から受け継いだ資産ですから、株式についてはこのまま保有を続ける予定とのことです。保有銘柄の中からAさんに継承させたいと選ばれたお父様の気持ちに思いを馳せると、早々に売却して資産の組み換えをする気にはなれなかったのです。幸いにも相続した銘柄は、いわゆる資産株といわれるものでした。
一般的に資産株とは、業績や財務が安定していて、配当も比較的高く安定した水準なので、長期保有に耐えうるとされています。なお、将来的に売却を考えるのであれば売買手数料の低いネット証券への預替もメリットがある旨をお伝えしました。というのも株式の取引(現物)にかかる手数料は各証券会社や契約コースによって大きく異なるからです。Aさんが現在預け入れをしている大手証券会社C社の最低手数料2,090円ですが、大手ネット証券では55円、契約コースによっては0円というほどの差があります。
ただし注意点として、株式を預替する時には移管手数料がかかるケースがあります。証券会社によるのですが、大手ネット証券は出庫(他社へ移管)や入庫(自社へ移管)ともに無料です。いっぽうでC社は出庫に1単元1,100円かかるため、Aさんの場合は4万円ほどになります。コストと手間をかけて他社に移管する必要性を感じないとのことでしたので、当分はこのままにしてくことにしました。