はじめに

証券会社から送られてきたセットプラン 預け入れしたほうがいい?

懸案事項は満期を迎えた国債の運用先についてです。現在、証券口座内には1,700万円ほど、このまま置いておくのは勿体ないと思っていたところへC社からDMが送られてきたのです。円定期預金で3カ月年7.0%の金利がつくと書いてあるので、どうでしょう?と商品案内を見せていただきました。

チラシには「セットプラン」と大きく書かれており、その下には「投資信託・ラップ+円定期預金セットプラン─金利上乗せサービス─」とあります。商品プランのイメージは以下の通りです。

「2:1プラン」の円定期預金は3カ月で、なんと年7.0%の金利がつくのです。Aさんの証券口座内には先述の通り1,700万円ありますから、仮に2:1プランに申し込んだ場合、1,000万円の対象商品購入で500万円の円定期預金が可能ということになります。実際に500万円を年7.0%で3カ月預け入れした場合の利息は8万6,301円(500万円×7.0%×90日×365日)、こちらに20.315%の税金がかかります。現在の預金金利は、高くても0.2%ほどですから500万円を1年間預けても利息は1万円ほどです。3カ月で8万円以上の利息がつくのですから悪いプランではないように思えます。

なお、このプランでは1,000万円の対象商品を購入する必要があります。対象商品とはC社指定の投資信託、あるいはファンドラップの契約です。例えば、指定の投資信託では、購入時の手数料と保有期間中に信託報酬といった運用管理費用がかかり続けます。これらの手数料は商品ごとで異なりますが、高いものでは購入時に3.3%の手数料となるものも。1,000万円の購入で33万円の可能性もあるわけです。さらに保有中は信託報酬が2%前後かかる可能性があると書かれています。もちろん、手数料以上の運用益を得られれば良いのですが、投資信託は元本変動型の金融商品です。

いっぽうのファンドラップですが、こちらは自分で投資信託を選ぶ必要が無い代わりに証券会社と投資一任契約を結び、商品選びをお任せできるサービスになります。ただしお任せするには手数料がかかり、契約資産の時価評価額に対して最大1.76%(年率・税込)の費用と保有期間中には運用管理費用がかかってきます。資産の時価評価額が1,000万円であれば、ファンドラップ手数料が年間17万6,000円とその他に信託報酬2.0%前後の運用管理費用がかかり続けます。

定期預金の利息として8万円以上受け取れるものの、対象商品を購入する時の手数料が受け取る利息の倍以上がかかることをAさんにお伝えしました。投資経験が無いAさんは、とても驚かれ、他の選択肢を含めて検討したいとのことでした。お父様から受け継いだ大切な資産を減らさないためにも、次回の面談ではNISA制度についても詳しくお伝えするつもりです。

この記事の感想を教えてください。