はじめに

社会保険加入の対象にならない人はどんな人か?

一方、適用拡大されてもなお、社会保険の対象にならない人もいます。

従業員数が101人未満 のいわゆる中小企業や零細企業などで働いている
・自身の就業時間は長くても、複数の企業を掛け持ちで働いており、1つ1つの企業では就業時間が短い。
・日雇い労働者

たとえば、従業員数30名の会社の事務員、いくつものスーパーを掛け持ちしてレジ打ちをしている人、期間や場所が限定されているワクチン接種会場のスタッフなどは、社会保険加入の対象とはなりません。

ただし合算し年収130万円を超えた場合、扶養を外れ、国民年金や国民健康保険に入る必要が出てきます。

社会保険に加入するメリット・デメリットは?

半強制的に加入するとなると、少し嫌な気持ちになるかもしれませんが、社会保険に加入することで、次のようなメリットがあります。

1. 公的保険が充実すること

「公的保険」は「老齢」「遺族」「障害」のための保障があります。「老齢年金」は長生きリスクに備えたもの、「遺族年金」は死亡時に残された家族のための保障として備えたもの、「障害年金」は障害状態になってしまったときに備えたものです。

さらに各種給付を受けることもできます。たとえば傷病手当金は、病気やケガで会社を休んだときの手当です。休んだ日から連続して3日間(待期期間)の後、4日目以降支給されます。最長1年6カ月までの期間で、給与額のおよそ3分の2が支給されます。

このコロナ禍で、もし入院することとなってしまった場合や自宅療養期間が長くなってしまった場合でも、生活費や療養費の足しになることでしょう。

今後、出産を考えている人であれば、出産にまつわる手当や給付金を取得することができるようになります。

健康保険から支給されるもので、産休制度があります。ただしくは産前産後休業制度といい、次の給付があります。

・出産手当金  
出産日(あるいは出産予定日)前の42日から出産日の翌日以降56日までで、会社を休み給与が支払われなかった期間、給与のおよそ3分の2が支給されます。

合わせて育休があります。育休育児休業給付金といい、こちらは雇用保険から給付されます。

休業開始から180日目(約半年)までは今までの給与の67%、181日以降は半額の50%が支給されます。原則、子どもが1歳になるまでの支給ですが、保育園に入ることができない場合など、1歳6カ月まで延長することができます。

2. 年収106万円や130万円の壁にとらわれず上限なく、働くことができるようになる

年収130万円を超えると、社会保険の加入義務が発生します。

一方106万円は上記にある月額88,000円のことを指します。つまり501人以上の大企業で働くパートさんなどだけが対象となっていましたが、適用拡大することで、101人以上の会社で働く人も対象となります。

コロナで急に休まなければならない人の穴埋めもこの「壁」があると、引き受けにくいことがあったと思いますが、存分に働くことができます。

3. 将来受け取ることができる老齢年金の額を増やすことができる

1.の公的保険が充実することの補足ですが、扶養内の場合、国民年金は支払っているものとして扱われますが、厚生年金保険料は支払っていません。したがって、将来受け取ることができる老齢年金額は、国民年金だけの場合、満額でも年間77万7,800円(令和4年度)のみとなります。月にならすと64,816円です。

しかし厚生年金保険料を労使折半で払うことにより、将来受け取ることができる老齢年金額が厚生年金分、上乗せとなります。

一方、社会保険に加入するデメリットは、社会保険料が掛かり、今までよりも手取りが少なくなることです。

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