はじめに

訪日消費が相場の風向きも変えるか

金融政策の面では不安定さが見受けられますが、経済対策ではポジティブな要因もあります。入国制限の緩和により、新型コロナ流行前の柱の一つであった、インバウンドの回復が期待されるためです。

具体的には、これまで1日あたり2万人を上限とされていた入国制限を撤廃するという議論が出ています。このニュースが出た9月12日(火)には、関連株が市場でもポジティブな反応を示し、百貨店・ドラッグストア・化粧品関連銘柄を中心に物色される展開となりました。

24年ぶりの円安水準という外国人にとってのメリット、並びに大半の外国人にとって約2年ぶりの訪日となるため、外国人の消費も秋以降期待できるのではないでしょうか。今後は直近で物色対象となったインバウンド消費関連の銘柄には期待感が高まります。特に百貨店銘柄は業績好調により、この相場環境が悪い中でも三越伊勢丹ホールディングス(3099)・J.フロント リテイリング(3086)など、関連銘柄が軒並み9月に年初来高値を更新しており、今後も注目されることが予想されます。

また約2年間、外国人の需要が消失したことによる円安圧力もありましたが、この方針転換により訪日客が復活することで、先に触れた過度な円安進行にも一定の歯止めの効果が期待されます。

年後半にかけて政治面でのリスクに警戒か

最後に政治面のリスクについて、日本・米国それぞれについて見ていきます。

日本では、国政選挙も消化し、今後大きな政治イベントは控えていませんが、内閣支持率が低下していることが一つ不安要素としては存在します。NHKの世論調査によれば、最新の9月の調査において、「支持する」と「支持しない」が共に40%となり、岸田内閣が発足以来、最低の支持率となっています。菅前首相が内閣支持率の低迷の後に退陣し、その後期待感から相場が急反発したのは記憶に新しいですが、内閣が安定しているかどうかは市場にも少なからず影響を及ぼします。

現在の支持率低下の要因である、統一教会の話題や安倍前首相の国葬実施以外にも、国内のインフレ進行による国民の生活不安など、国民から反発が発生する要因も潜んでいます。今後も内閣支持率のトレンドには注意が必要でしょう。

また米国では11月8日(火)に中間選挙を控えています。中間選挙は、下院の全435議席、上院は3分の1の34議席が改選し、中間選挙の投開票日には36州で州知事選も行われる、非常に重要な政治イベントです。選挙の争点には米国民を苦しませているインフレも焦点の一つとなっており、インフレ動向は一段と高い注目を集めていくかもしれません。
※編注:初出時、曜日に誤りがありました。

また中間選挙の前週には11月のFOMCが控えています。FOMCまでにどのような経済指標が出てくるか、並びにそこでどれくらいの利上げが実施されるかは選挙結果へ影響を与えていくと考えられるでしょう。タイミング的に11月が大きな相場の山場になるということは、投資戦略を立てていく上で念頭に置いておくと良いのではないでしょうか。

足元ではさまざまなニュースに相場が翻弄される展開となっています。年後半にかけては意識的に政治関連のニュースに目を向けてみてはいかがでしょうか。

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