はじめに
円安による業績への影響は?
帝国データバンクが円安による企業業績への影響について調査を実施した結果、マイナス(大いにマイナス、どちらかといえばマイナス)と答えた企業が6割を超えました。マイナスの理由として「原材料価格の上昇でコスト負担が増加した」した事や、「燃料・エネルギー価格の上昇でコスト負担が増加」と回答した企業が多数を占めました。
9月13日(火)に中国電力(9504)は、ロシアのウクライナ侵攻や円安進行で資源価格が高騰した影響で、2023年3月期の連結最終損益が1,390億円の赤字になると公表しました。また、一般家庭向けの規制料金を含めて引き上げを検討する事も発表されました。北海道電力(9509)も同様な理由から、2023年3月期の連結最終損益が710億円の赤字予想を発表しました。
また、10月には約6,500品目の値上げが実施される予定です。ビールや発泡酒、第三のビール、チューハイを始め、家庭用ハム・ソーセージやチーズなどです。更に円安が進むと家庭への負担も増える可能性もあります。
反面、円安によるメリットもあります。海外では日本製のモノの価格が下がり、売れやすくなります。そのため、輸出関係では利益を得やすくなる可能性があります。また、岸田首相が10月11日(火)から水際対策の緩和で個人旅行やビザなしの来日が再開される為、インバウンド消費に期待がかかります。インバンド需要の高かった2019年と比較し、3割ほど円安・ドル高水準で、また元に対しても2019年が1元15円だったのが、現在は20元と円安・元高となっています。
今後の見通しとして、米国や欧州の経済指標の発表などが重要になってくるでしょう。特にFOMCでの利上げ判断の材料となるため、消費者物価指数(CPI)の動向は注目すべき指標となりそうです。