はじめに

通勤電車で優待の新設・変更情報をチェック

人気が上がる前に投資して、優待を楽しみながら株価が上昇するのをじっくり待つのが、私の基本的な投資スタンスです。

それには、早く情報を得る必要があります。優待の新設や変更の情報は、東証ウェブサイトの「適時開示情報」で公表されており、私は通勤電車でチェックするのを日課にしています。決算やその他の発表も確認できます。

優待の新設や拡充を見つけたら、優待そのものの魅力と、資産面、収益面での魅力を検討し、投資の価値があると判断したら投資します。新しい優待そのものを狙うのはもちろんですが、優待の新設は東証1部への「昇格」という、別の値上がりチャンスの兆候になることがあります。

東証2部やジャスダックといった市場に上場している企業が、東証1部に「出世」すれば、投資信託やETFなどがその銘柄を一斉に買うことになるので、その期待で株価は上昇するからです。東証1部に昇格するには一定の株主数が必要で、その条件を満たすため優待を新設する企業も多くあります。このため、優待新設銘柄に投資してまもなく1部昇格が発表され、株価が大きく上昇するといった恩恵にあずかることもあります。

優待投資は忙しいサラリーマンでも取り組みやすい

私は短くても半年、長ければ何年でも保有するスタンスなので、日中に忙しく売買することはありません。

スマホがあれば通勤電車で適時開示をチェックして投資候補を絞り込めますし、本業である仕事に支障をきたすようなことはありません。銘柄の研究や投資判断は夜や休日にしますが、子供も小さいので妻に負担がかかりすぎないよう家事や育児も担います。休日は、優待を使った家族サービスに忙しいぐらいです。

優待や株式投資に興味はあっても、なかなか最初の一歩を踏み出せないという人もいます。

勉強してから始めようという姿勢はとても大事なのですが、株は実際にやってみて、トライ&エラーを経験しないとわからないことがたくさんあります。1銘柄でいいので、損失を出しても大きな痛手にならない程度の金額で買ってみると、自然と勉強しようとする意欲が湧きますし、身につくものが全然違ってくると思います。

おかげさまで本を出版したり、雑誌でコメントするようになると、「企業分析ができると儲かる銘柄がわかっていいですね」とか、「上がる銘柄を教えてください」といったことをよく言われるようになります。

確かに私は株で成功できましたが、常に自信満々で投資できているわけではありません。総合的に判断しているので明確な基準もありませんし、いつも手探りです。失敗経験もたくさんあります。

たまたま成功した、失敗した、を繰り返しても資産は築けません。なぜこの株を買うのか、なぜ成功できたのか、なぜ株価が下落したのか、なぜ判断を間違えたのかということをその都度しっかり考え次に生かすことで、その努力は報われ、勝率は着実に上がっていくと感じています。

人の投資法を学んだり、注目銘柄の情報を取りに行くのも良いですが、鵜呑みにするのではなく必ず自分で考え、判断することが重要です。

投資で手っ取り早く大成功できる方法はありません。それでも優待投資なら、勉強中や損失を出してしまったときでも株主優待という楽しみが日々の生活にうるおいを与えてくれるのです。

ぶいこむつー●サラリーマン個人投資家。20代で投資を始め、1億6000万円の資産を築く。著書に中級者向けに執筆した「運、タイミング、テクニックに頼らない! 最強のファンダメンタル株式投資法」、初心者向けの「昇格期待の優待バリュー株で1億稼ぐ!」がある。投資ブログ「21世紀投資」を運営。

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