はじめに

具体的な変更手続き

一般NISAもつみたてNISAも、金融機関の変更手続きは1年に1回です。一度でもその口座で買い付けを実行すると、もう年内での変更はできず、翌年からの変更となります。手続きは、10月1日から翌年の9月30日までの期間内に行う必要があります。従って、来年1月から新しい金融機関、新しいNISAで運用をスタートしたい場合、今まさに手続きのタイミングだと言えます。

現在の金融機関で、一般NISAからつみたてNISAへ、つみたてNISAから一般NISAへの切り替えを行う場合は、取引金融機関に「非課税口座移動届出書」を提出します。手続きとしてはシンプルですが、2023年から新しい口座で投資を始めたい場合、手続きの締め切りがありますから、スケジュールを確認して余裕をもって手続きを行いましょう。

金融機関の変更を行う場合もスケジュール管理は重要です。金融機関によっては、手続き完了までの日数が思った以上にかかって2023年スタートが間に合わなかったとならないよう、早め早めに行動しましょう。

最初に、現状の金融機関における口座を廃止する手続きを行います。「金融商品取引業者等変更届出書」に本人確認書類等を添付して返信すると、金融機関が確認した上で、「非課税管理勘定廃止通知書」が届きます。この通知書は新しくNISAを始める金融機関に提出しますので、いったん保管します。

次に新しい金融機関で口座開設の手続きをします。これまで取引があった金融機関であれば、一般NISAかつみたてNISAの希望する方の口座のみの開設で済みますが、全くはじめてという金融機関では、総合口座を開設したうえで、一般NISAあるいはつみたてNISA口座を開設します。手続きが完了すると、「非課税口座開設届出書」が送付されます。

この書類に必要事項を記入し、先の金融機関から届いた「非課税管理勘定廃止通知書」と共に新しい金融機関に提出をすると、手続きは完了です。

NISA口座は一人一口座なので、これまでの口座を廃止したことを確認した上で、新しい口座を開設する必要があります。少し面倒ですが、税務署の審査があることも含め、あらかじめ変更のステップを知っておくとスムーズでしょう。

変更に際して、覚えておきたい注意点

金融機関を変更すると、これまで使っていたNISA口座はどうなるのかといったご質問をよく受けます。以前使ったNISA口座はなくなる事はありません。一般NISAであれば、そのまま非課税期間を最後まで利用して投資が継続できます。ただし、ロールオーバーはできません。なぜならば、資金の受け皿となる口座が別の金融機関にあるからです。従って、非課税期間内で売却をしないのであれば、その金融機関の課税口座に移ります。

つみたてNISAも同様に、以前購入した投資信託は、20年間の非課税期間中は以前の金融機関でそのまま運用が継続されます。ご自身のタイミングで売却もできます。いずれにしても金融機関を変えたからといって、過去の運用が不利益を被ることはありません。

一般NISAからつみたてNISA、つみたてNISAから一般NISAに切り替えた場合も、過去分についてはそのまま継続されています。ここでも切り替えにより、過去の運用が不利益を被ることはありません。

ただし、管理は少し複雑になります。金融機関を変更すれば管理画面は複数になりますし、NISA口座を切り替えれば投資した年によって非課税期間が異なることになります。

ご承知の通り、NISAについては今後拡充が期待されており、ルールが変わることもありそうです。とはいえ、年の途中で新しい仕組みに切り替わることはありませんから、今できる最善の方法を選択されることをオススメします。

最近はNISAとともにiDeCoへの感心も高まり、非課税制度をフルに活用しようという意識の方が増えてきました。それは喜ばしいことですが、非課税にばかり気を取られて、課税口座を嫌う傾向もあるようです。資産形成の本来の目的は、ご自身の人生をより豊かにするためですから、非課税枠だけで終わらず課税口座も有効に活用していきましょう。

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