はじめに

(2)社会保険料を下げたい

皆さんは、国民健康保険料の決め方と会社で入る健康保険料の決め方が大きく違うのはご存じですか?

国民健康保険料は、前の年の収入に応じてその保険料が決まります。一方、会社の健康保険は、毎月の給与の金額(厳密には4〜6月受け取り分の給与)に応じて決まります。これを踏まえて、会社を退職してフリーランスで仕事を始めた場合を思い浮かべてください。

会社である程度の給与をもらっていると、国民健康保険料がかなりの高額になる可能性があります。しかも、会社を辞めて収入が減っているのに、容赦なく前年の所得を基本に国民健康保険料が決まってしまいます。

これを安くする方法が「法人化」です。法人を設立して、会社から自分に給与をやや控えめに支払うことで、この給与金額をベースとした社会保険料(健康保険 + 厚生年金)を納めることになります。

もしも、共働き夫婦が同時期に退職することがあれば、2人分の国民健康保険料の負担がかなり大きくなることも予測されます。夫婦で起業するのなら、一緒に1つの会社を作るというのも良いかもしれませんね。

(3)消費税申告のボーダーライン内へ

個人であっても法人であっても、1年間の売上が1,000万円以上になれば、その2年後から消費税を申告し、納付することになります。

例えば、令和3年分の年間売上が1,000万円以上になると、翌年令和4年のうちに届出などの手続きをして準備しておいて、令和5年分からは消費税の申告をちゃんとして消費税を納めてね、ということになります。

「消費税なんて面倒だな〜。10%ちゃんともらったこともないし、よくわからないなぁ」ですって?  なんて……嘆かわしい! ちゃんと知識があれば、回避する方法もあります。

法人を設立すれば、個人とは別の人格としての取り扱いになります。1年の途中で「今年もうあと少しで1,000万円になりそうだな」というタイミングで法人が登場すると、自分ではない「法人」という別人格に売上が計上されることになり、個人分の消費税の手続きを回避できるということになります。

また、事業内容がいくつかあるのなら、個人事業を全て法人にせず、一部を法人化して一部を個人事業として残すことで、その後も売上を2カ所に分けることで継続的に消費税の課税事業者のボーダーラインである1,000万円に到達しないようにすることも可能です。

おまけに、一部を個人に残しておくことで、青色申告特別控除額の65万円を使うことができるので、節税効果もありますね。

法人化、その他のメリットとデメリット

他にも法人化のメリットとして、下記などがあります。

・役員報酬から「給与所得控除額」を引くことができる
・法人というだけで信頼が得られる
・赤字(マイナス)になったとき繰越できる期間が10年になる
・欠損金の繰戻しによる還付もある

メリットばかり並べましたが、もちろんデメリットもあります。

(1)登記が面倒、手数料がかかる
株式会社で15万円、合同会社でも6万円の印紙を貼って書類を提出する上、手続きの手数料も必要です。司法書士に代行を頼むとさらに報酬を支払うことになります。

(2)住民税均等割が必ずかかる
均等割は、赤字の会社でも毎年必ず支払わなければなりません。地域によって異なりますが7万円以上かかると思っておくと良いでしょう。

(3)色々な手続きが増えて大変
法人税の申告は個人の確定申告より複雑なので税理士に相談した方が良いでしょう。また、自分に役員報酬を払うということは自分の給与に対する年末調整をしなければなりませんし、社会保険の手続きも自分の会社でやらなければなりません。

今まで会社がこんなに色々な手続きをしてくれていたのかと勉強になりますが、それだけ手続きが必要であるということは覚悟して始めてください。


法人と個人の違いはお分かりいただけましたか?

違いもわからずにいきなり法人を作って「なんか大変だし、お金もやたらかかるな〜」なんて、嘆かわしい! ですよ。ちゃんとメリットとデメリットを理解して、「ここぞ!」というタイミングで法人の設立をして、晴れて事業主から社長へと転身してくださいね。

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