はじめに
失敗事例2 想定通り収益が入ってこない
不動産投資に興味がある初心者のAさんがいたとします。将来に不安があり、年金や老後の資金を貯めたいと思い、よくわからないまま不動産投資を始めてしまいました。
以下の例はイメージなのですが、このようなケースはよく耳にします。
Aさんは投資用物件として、東京都品川区に4,800万円の区分マンションを買いました。現状、入居者がいて家賃が20万円です。
収益性を表す利回りは、「年間家賃収入÷物件価格×100」で計算されるので、この物件では下記になります。
利回り = (20万円×12ヵ月分)÷ 4,800万円 × 100 = 5%
これを30年2%の金利で4,800万円を融資受けて購入したとします。月々の返済は17.7万円になります。不動産屋さんからは、「このような良い物件はこの機会を逃したら2度と出てこない」と強く勧められました。営業の方も信頼できそうなので安心できました。
「5%の利回りならまずまずだし、17.7万円の返済なら問題なく返済できる」と思い購入を決めたAさんでしたが、その後どうなったのか見てみましょう。
退去が発生し家賃が入ってこない、さらに原状回復費がかかる
購入後、1年間は毎月20万円の家賃が入ってきましたが、退去が発生しました。毎月20万円入ってくるはずが、入ってきません。ローンを受けているので、17.7万円の返済が発生してしまいます。さらに修繕積立金が月1万円、管理費が1万円かかるので、月に約20万円のマイナスとなってしまいました。
しかし、悲劇はそれだけではありませんでした。退去した後の部屋の原状回復費用の見積もりが来たのです。
長年住んでいた方で、壁紙や床の張替えが必要とのことで、リフォーム費用が30万円かかるとのこと。家賃がなくなったうえに30万円の出費は痛すぎます。30万円出費したうえに、このままでは毎月20万円のマイナスになってしまう……一刻も早く次の入居者を埋めないといけません。
家賃20万円で募集しても入居者が見つからず
さっそく今まで通り、家賃20万円で入居者募集を開始しましたが、さっぱり入居者が見つかりません。不思議に思っていろいろと調べてみると、近隣の同じような物件の家賃は15万円程度でした。近隣と比べ5万円も家賃が高いので、自分の部屋を借りたい方が現れない事がわかってきました。
20万円で貸せていたのはずっと昔の話で、今は家賃が下がってしまっているそうです。20万円のまま募集しても入居者が決まるめどが立たなかったので、泣く泣く15万円に家賃を下げました。
何とか入居が決まったのですが、広告費として家賃の1ヵ月分の15万円がかかり、さらにお金が出ていきました。入居が決まっても、銀行返済と管理費と修繕積立金で月に約20万円の出費なので、月に5万円の持ち出しになってしまいます。
毎月5万円の持ち出しが発生し、さらに退去されたらリフォーム費用が掛かり、春には固定資産税が20万円ほどかかります。
これがあと30年続くのかと思うと、Aさんは不安な気持ちでいっぱいになり「もう手放したい……」と考えるようになりました。
しかし、売ろうとしたところ、3,000万円くらいでしか売れないことがわかり、目の前が真っ暗になりました。4,800万円の借金があるので、仮にマンション売れても1,800万円の借金が残ってしまいます。